2004/9/1、心筋梗塞の修正可能なリスク因子の影響について調べた研究「Effect of potentially modifiable risk factors associated with myocardial infarction in 52 countries: the INTERHEART study: case-control study」の要旨をまとめました。

2004/9/1、心筋梗塞の修正可能なリスク因子の影響について調べた研究「Effect of potentially modifiable risk factors associated with myocardial infarction in 52 countries: the INTERHEART study: case-control study」の結果をまとめました。心血管疾患の世界的負荷の80%以上は低所得から中所得国で発生しているにも関わらず、リスク因子の重要性の知識は主に先進国に基づいています。さらに、多くの地域における冠動脈性心疾患のリスク因子の影響は十分にわかっていません。全大陸から52カ国、急性心筋梗塞の症例対照研究を実施しました。症例15152例、対照群14820例を収集しました。心筋梗塞に関連因子として、喫煙、高血圧の既往、糖尿病の既往、ウエストヒップ比、食事パターン、身体活動、アルコール摂取、血中アポリポタンパク質(apolipoproteins: Apo)、心理社会的因子が報告されました。心筋梗塞に関連するリスク因子、人口寄与リスク(population attributable risks: PAR)のオッズ比、99%信頼区間を算出しました。結果、喫煙(odds ratio 2.87 for current vs never, PAR 35.7% for current and former vs never)、アポB/アポA1比の上昇(3.25 for top vs lowest quintile, PAR 49.2% for top four quintiles vs lowest quintile)、高血圧の既往(1.91, PAR 17.9%)、糖尿病(2.37, PAR 9.9%)、腹部肥満(1.12 for top vs lowest tertile and 1.62 for middle vs lowest tertile, PAR 20.1% for top two tertiles vs lowest tertile)、心理社会的因子(2.67, PAR 32.5%)、果物と野菜の毎日の摂取(0.70, PAR 13.7% for lack of daily consumption)、アルコール摂取習慣(0.91, PAR 6.7%)、身体活動習慣(0.86, PAR 12.2%)は、全て急性心筋梗塞と有意な関連(p<0.0001 for all risk factors)、アルコールのみ(p=0.03 for alcohol)を認めました。このような関連は男性、女性、高齢者、若年者、世界中全ての地域で認められました。総括的には、人口寄与リスクに関して、9項目のリスク因子で、男性では90%、女性では94%に相当していました。脂質異常症、高血圧、糖尿病、腹部肥満、心理社会的因子、果物、野菜、アルコールの摂取、身体活動習慣は、全世界で性別、年齢、地域に寄らず、心筋梗塞のリスクに寄与していました。この結果、予防的アプローチは全世界で同様の原則に基づいており、心筋梗塞の一次予防可能である可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15364185
「心筋梗塞の90%は9つの修正可能な危険因子で起こる」というインパクトのあるメッセージのエビデンスとなった「INTERHEART」試験です。心筋梗塞のリスク因子の中には、年齢、性別、家族歴等、修正不可能な因子も多いですが、実は90%が修正可能なんです。9項目の因子を修正すれば心筋梗塞は10分の1に減らせるという驚くべき数字です。大井町心臓クリニックのホームページにも詳しい説明があります。
https://oimachiclinic.com/situkan


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