2020/6/9、経皮的冠動脈形成術で冠動脈内圧ワイヤーガイダンスの狭心症に対する有用性について調べた研究「Survival of Patients With Angina Pectoris Undergoing Percutaneous Coronary Intervention With Intracoronary Pressure Wire Guidance」の要旨をまとめました。冠動脈内圧ワイヤーによる冠血流予備量比(fractional flow reserve: FFR)の測定は、経皮的冠動脈形成術において治療方針の決定に有用です。しかしながら、安定狭心症において長期の臨床転帰に冠血流予備量比の有用性は十分にわかっていませんでした。安定狭心症の経皮的冠動脈形成術において、冠血流予備量比の測定と全死亡の関係を調べるために、20005年から2016年まで、スウェーデン冠動脈造影冠動脈形成術レジストリ「Swedish Coronary Angiography and Angioplasty Registry」からのデータ、安定狭心症で経皮的冠動脈形成術を実施した全例、冠血流予備量比の測定あり、冠血流予備量比の測定なしを対象に比較しました。主要転帰は全死亡、副次転帰はステント血栓症、ステント再狭窄、術前術後の合併症としました。カーネルベースの傾向スコアマッチングにて調整後の多変量Cox比例ハザード回帰モデルにて解析しました。結果、安定狭心症に対して経皮的冠動脈形成術を実施した全23860例、冠動脈予備量比測定あり3367例でした。平均4.7年の追跡、冠動脈予備量比あり群は、全死亡(hazard ratio: 0.81; 95% confidence interval [CI]: 0.73 to 0.89; p < 0.00)、ステント血栓症と再狭窄(hazard ratio: 0.74; 95% CI: 0.57 to 0.96; p = 0.022)の調整後リスクは有意に低値でした。術前術後合併症の発生数は両群間(adjusted odds ratio: 0.96; 95% CI: 0.77 to 1.19; p = 0.697)で差を認めませんでした。観察研究の結果、冠血流予備量比の測定は、安定狭心症に対する経皮的冠動脈形成術において、長期の死亡率低下、ステント血栓症、ステント再狭窄の低下と関連をしていました。この結果は、経皮的冠動脈形成術における冠血流予備量比の測定を推奨するヨーロッパ、アメリカの現行のガイドラインを支持するものであり、安定狭心症において冠動脈内圧ワイヤーガイダンスの予後ベネフィットがあることを示しています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32498806
経皮的冠動脈形成術において冠動脈予備量比の測定を行ったほうが、死亡率19%低下、ステント関連合併症26%低下という報告です。日本においてもほとんどの施設で冠動脈予備量比の測定は行われるようになりました。
2020/6/9、経皮的冠動脈形成術で冠動脈内圧ワイヤーガイダンスの狭心症に対する有用性について調べた研究「Survival of Patients With Angina Pectoris Undergoing Percutaneous Coronary Intervention With Intracoronary Pressure Wire Guidance」の要旨をまとめました。