2020/7/28、埋込み型除細動器治療の長期転帰について調べた研究「Long-Term Outcomes of Implantable Cardioverter-Defibrillator Therapy in the SCD-HeFT」の要旨をまとめました。

2020/7/28、埋込み型除細動器治療の長期転帰について調べた研究「Long-Term Outcomes of Implantable Cardioverter-Defibrillator Therapy in the SCD-HeFT」の要旨をまとめました。「SCD-HeFT」(Sudden Cardiac Death in Heart Failure Trial)では、中程度の心不全2521例を対象に、アミオダロン、プラセボ、埋込み型除細動器治療に割り振り、当初の研究では2003年まで追跡しました。中央値45.5ヶ月の追跡で、アミオダロンはプラセボと比べて生存を改善せず、一方で、埋込み型除細動器は23%全死亡を有意に改善させました。「SCD-HeFT」試験の追跡コホートとして、試験終了後、生存者1855例登録しました。一次研究と長期転帰を結合しました。結果、中央値11.0年追跡、処置意図分析、埋込み型除細動器群は全体としてプラセボ群と比べて、生存ベネフィット(hazard ratio [HR]: 0.87; 95% confidence interval [CI]: 0.76 to 0.98; p = 0.028)を認めました。無作為化から時間機能分析を行ったところ、埋込み型除細動器のベネフィットは6年後以降は減衰(p value for the interaction = 0.0015)していました。サブグループ解析では、長期の埋込み型除細動器のベネフィットは心不全の病因、NYHA機能クラスに関連しており、虚血性心不全(HR: 0.81; 95% CI: 0.69 to 0.95; p = 0.009)、非虚血性心不全(HR: 0.97; 95% CI: 0.79 to 1.20; p = 0.802)、NYHA機能クラスII(HR: 0.76; 95% CI: 0.65 to 0.90; p = 0.001)、NYHA機能クラスIII(HR: 1.06; 95% CI: 0.86 to 1.31; p = 0.575)でした。「SCD-HeFT」試験後11年追跡、埋込み型除細動器の長期生存ベネフィットは、虚血性心不全、NYHA機能クラスIIと関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.onlinejacc.org/content/76/4/405
埋込み型除細動器の長期転帰を11年間追跡した研究です。埋込み型除細動器の有効性は明らかではありますが、その効果は虚血性心不全で大きく、埋込み型後6年以内に大きな差が認められるということ報告です。6年目以降は意味がないということではなく、致死的不整脈による死亡例は試験開始後6年以内で死亡してしまっており、その後に差が付きにくかったと解釈するべきなのかも知れません。詳しくは主治医までご相談ください。


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