2020/8/18、肥満手術と全死亡との関係を調べた研究「Association Between Bariatric Surgery and All-Cause Mortality: A Population-Based Matched Cohort Study in a Universal Health Care System」の要旨をまとめました。

2020/8/18、肥満手術と全死亡との関係を調べた研究「Association Between Bariatric Surgery and All-Cause Mortality: A Population-Based Matched Cohort Study in a Universal Health Care System」の要旨をまとめました。肥満手術(bariatric surgery)後の死亡率は過去の研究でありますが、コホート選択バイアルが指摘されており、追跡の完全性、交絡因子のデータが限られており、結果に影響を及ぼしている可能性がありました。肥満手術と全死亡の関係を調べるために、集団ベースマッチコホート研究を実施しました。カナダ、オンタリオ、2010年から2016年まで、肥満手術を受けた13679例、条件をマッチさせた非手術群13679例を対象に、肥満手術の介入と、主要転帰として全死亡、副次転帰として特定原因死を評価しました。年齢、性別、BMI、糖尿病の罹患期間等をマッチさせました。結果、肥満手術群13679例、非手術群13679例、中央値4.9年追跡、全体の死亡率は、手術群1.4%(197例)、非手術群2.5%(340例)、全死亡の調整後ハザード比は0.68(95% CI, 0.57 to 0.81])でした。55歳以上の群においては3.3%の絶対リスク減少(CI, 2.3% to 4.3%)、ハザード比47%減少(HR, 0.53 [CI, 0.41 to 0.69])を認めました。観察関連影響は性別間で大きな違いはありませんでしたが、男性において強く見られました。手術群はさらに心血管死亡の低値と関連(HR, 0.53 [CI, 0.34 to 0.84])、がん死亡の低値(HR, 0.54 [CI, 0.36 to 0.80])を認めました。限界としては、観察デザイン研究であるため因果関係の証明としては限界があること、肥満手術は全死亡、心血管死亡、がん死亡の低下と関連を認めました。手術群で低い死亡率が観察されたことはサブグループにおいても有意でした。絶対効果は男性、55歳以上でより顕著でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M19-3925
肥満手術と死亡率という論文タイトルだったので、肥満手術の危険性を調べた研究かと思ったのですが、肥満手術を実施したほうが死亡率が低いという結果でした。肥満手術群で全死亡32%、心血管死亡47%、がん死亡46%減少とは、予想以上の有効性ですね。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/etc/202009/566942.html


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