2020/9/3、医療サービスを十分に受けていない地域の肥満への介入ついて調べた研究「Weight Loss in Underserved Patients – A Cluster-Randomized Trial」の要旨をまとめました。

2020/9/3、医療サービスを十分に受けていない地域の肥満への介入ついて調べた研究「Weight Loss in Underserved Patients – A Cluster-Randomized Trial」の要旨をまとめました。十分に医療サービスが行き届いていない集団のプライマリケアにおいて、肥満への治療の有効性のエビデンスは十分ではありません。低所得率が高い地域において、肥満治療としてプライマリケアクリニックによる集中的な生活習慣改善プログラムの有効性を検証するために、クラスター無作為化試験を実施しました。18クリニック、カロリー摂取の減少、身体活動の増加を含む生活習慣への集中介入群と、通常ケア群と無作為に割り振り、参加クリニックのヘルスコーチによる集中介入プログラムを実施しました。プログラムは最初の6ヶ月は週1回実施、その後は月1回18ヶ月継続しました。通常ケア群はプライマリケアチームから標準的ケアを受けました。主要転帰は24ヶ月後時点における開始時からの体重の変化率としました。結果、全18クリニック、集中介入群9クリニック、通常ケア群9クリニック、24ヶ月の研究に参加しました。中央値40.5名が各クリニックのプログラムに参加、全体で803例が参加しました。集中介入群452例、通常ケア群351例、黒人67.2%、65.5%は年間の家計収入が40000ドル未満でした。参加者のうち83.4%が24ヶ月の試験を完了しました。24ヶ月後時点の体重減少率は、集中介入群(change in body weight, −4.99%; 95% confidence interval [CI], −6.02 to −3.96)は通常ケア群(−0.48%; 95% CI, −1.57 to 0.61)と比べて、有意に改善(group difference of −4.51 percentage points (95% CI, −5.93 to −3.10 P<0.001)を認めました。両群間で重大有害事象の有意差を認めませんでした。プライマリケアにおける肥満に対する集中的な生活習慣介入プログラムは24ヶ月後における臨床的に有意な体重減少を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2007448
医療サービスを十分に受けていない(underserved)、低所得地域における肥満は解決困難というのが通説でしたが、生活習慣への集中介入で体重減少は可能であったというアメリカからの報告です。やれば出来るということですね。我々も頑張りましょう。


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