2020/7/31、中高年期の高血圧傾向と脳の微小血管病変との関係を調べた研究「Mid to Late Life Hypertension Trends and Cerebral Small Vessel Disease in the Framingham Heart Study」の要旨をまとめました。

2020/7/31、中高年期の高血圧傾向と脳の微小血管病変との関係を調べた研究「Mid to Late Life Hypertension Trends and Cerebral Small Vessel Disease in the Framingham Heart Study」の要旨をまとめました。高血圧の期間、生涯パターンは脳卒中、認知症のリスクと関連しています。脳小血管病(cerebral small vessel disease: CSVD)は認知症、脳卒中と併存する脳血管疾患として最も高頻度です。中高年期の高血圧傾向とその後の脳小血管病の関係を研究することは、高血圧の役割の理解、脳症血管の予防につながります。フラミンガムハートスタディの子孫コホート研究の参加者で、脳卒中、認知症のない中高年で、脳MRIのデータが入手可能な1686例を対象に、中年期と高年期の高血圧トレンド、血圧正常・血圧正常パターン、血圧正常・高血圧パターン、高血圧・高血圧パターンと、頭部画像検査による脳血管の微小出血(microbleeds)、潜在性脳梗塞(covert brain infarcts: CBI)との関係を解析しました。多変量ロジスティクス回帰分析にて、脳小血管病の累積オッズ比、95%信頼区間を算出しました。脳小血管病の有病率は、脳微小出血8%、潜在性脳梗塞13%、高血圧の暴露が長いほど脳全体に増加しました。血圧正常パターンと比べて、血圧正常・高血圧パターン、高血圧・高血圧パターンは、微小出血のオッズ比高値と関連(2.71 [1.08–6.80], and 3.44 [1.39–8.60], respectively)、高血圧・高血圧パターンは、微小出血(1.54 [1.12–2.20])、潜在性脳梗塞(1.55 [1.08–2.20])、両方のオッズ比高値と関連していました。脳小血管病は高血圧の暴露が長いほど増加しました。高血圧は脳小血管病の潜在的に主要な因子であり、早期から高血圧の治療の重要性に注意を払う必要性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.120.15073
脳小血管病(cerebral small vessel disease: CSVD)とは、Binswanger病、大脳白質病変、無症候性ラクナ梗塞等を含む総称です。いずれも積み重なると脳血管性認知症の原因となるとされています。高血圧は修正可能なリスク因子です。中年期からの血圧コントロールが重要であるという報告です。


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