2020/9/20、心房細動で推奨用量の直接経口抗凝固薬を受けていない場合の死亡率を調べた研究「Mortality in Patients With Atrial Fibrillation Receiving Nonrecommended Doses of Direct Oral Anticoagulants」の要旨をまとめました。

2020/9/20、心房細動で推奨用量の直接経口抗凝固薬を受けていない場合の死亡率を調べた研究「Mortality in Patients With Atrial Fibrillation Receiving Nonrecommended Doses of Direct Oral Anticoagulants」の要旨をまとめました。心房細動に対して、脳卒中、全身性塞栓症予防のために直接経口抗凝固薬を推奨用量することは、特に規制機関承認において記載されています。推奨ガイダンスに基づいた直接経口抗凝固薬の全死亡、脳卒中、全身性塞栓症、大出血への影響を心房細動と新規診断されてから2年間追跡で評価しました。2013年から2016年まで、前向き研究「GARFIELD-AF」(Global Anticoagulant Registry in the FIELD-AF)の参加者全34926例、直接経口抗凝固薬の処方を受けた10426例を対象に解析しました。結果、大多数72.9%は推奨用量を投与されていましたが、23.2%は過小投与(underdosed)、3.8%は過剰投与(overdosed)でした。非推奨用量(過小投与と過剰投与の合計)は推奨用量と比べて、全死亡(hazard ratio [HR]: 1.24; 95% confidence interval [CI]: 1.04 to 1.48)過小投与(HR: 1.25 95% CI: 1.04 to 1.50)、過剰投与(HR: 1.19 95% CI: 0.83 to 1.71)リスク増加と関連していました。超過死亡は心不全、心筋梗塞を含む心血管死亡でした。脳卒中、全身性塞栓症、大出血リスクは投与量レベルとは関係なく、有意差を認めませんでしたが、過小投与は出血リスク低値と有意に関係していました。過剰投与にて、脳卒中及び全身性塞栓症(HR: 1.51; 95% CI: 0.79 to 2.91)、大出血(HR: 1.29; 95% CI: 0.59 to 2.78)は有意ではないものの高い傾向を認めました。「GARFIELD-AF」研究の結果、大多数は各国のガイドラインに基づいた推奨用量の直接経口抗凝固薬を投与されていました。非推奨用量の投与は推奨用量と比べて、ベースライン因子調整後、死亡、特に心血管死亡のリスク増加と関連をしていました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.onlinejacc.org/content/76/12/1425
心房細動に対する抗凝固療法は、過小投与(underdose)でも過剰投与(overdose)でも良くない、推奨用量(recommended dose)が一番良いという報告です。言われれば当たり前のことですが、過剰投与よりも過小投与であることのほうが圧倒的に多いというのは実感としてわかります。一方で、薬剤によっては低用量の抗凝固薬の安全性、有効性を示す報告も出てきていますので、今後のデータを注視して参りたいと思います。詳しくは主治医とご相談ください。


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