2020/10/8、経カテーテル的大動脈弁留置術後のアスピリン、クロピドグレルの有効性、安全性について調べた研究「Aspirin with or without Clopidogrel after Transcatheter Aortic-Valve Implantation」の要旨をまとめました。

2020/10/8、経カテーテル的大動脈弁留置術後のアスピリン、クロピドグレルの有効性、安全性について調べた研究「Aspirin with or without Clopidogrel after Transcatheter Aortic-Valve Implantation」の要旨をまとめました。経カテーテル的大動脈弁留置術(transcatheter aortic-valve implantation: TAVI)後、長期の抗凝固療法の適応でない場合、出血、血栓塞栓性事象に対して、抗血小板療法単剤と、抗血小板療法2剤併用との影響は十分にわかっていませんでした。経カテーテル的大動脈弁留置術後、長期の抗凝固療法の適応がない例を対象に、アスピリン単独、アスピリンとクロピドグレルの併用、無作為化対照試験を実施しました。主要評価項目は、12ヶ月間の全出血(軽度出血、大出血、生命を脅かす出血、障害を残す出血)、非手術関連手術の2つとしました。経カテーテル的大動脈弁留置術の穿刺部位の出血のほとんどは非手術関連とカウントされました。副次評価項目は、1年以内の心血管死亡、非手術関連出血、脳卒中、心筋梗塞の複合1と、心血管死亡、虚血性脳卒中、心筋梗塞の複合2の2つ、非劣性マージン7.5%による非劣性、優越性の両方を評価しました。結果、アスピリン単独群331例、アスピリン、クロピドグレル併用群334例に割り振られました。出血事象は、アスピリン単独群50例(15.1%)、アスピリンクロピドグレル併用群89例(26.6%)、有意差(risk ratio, 0.57; 95% confidence interval [CI], 0.42 to 0.77; P=0.001)を認めました。非手術関連手術は、50例(15.1%)、83例(24.9%)、有意差(risk ratio, 0.61; 95% CI, 0.44 to 0.83; P=0.005)を認めました。副次評価項目の複合事象1は、アスピリン単独群76例(23.0%)、アスピリンクロピドグレル併用群104例(31.1%)、有意差(difference, −8.2 percentage points; 95% CI for noninferiority, −14.9 to −1.5; P<0.001; risk ratio, 0.74; 95% CI for superiority, 0.57 to 0.95; P=0.04)を認めました。副次評価項目の複合事象2は、32例(9.7%)、33例(9.9%)、非劣勢(difference, −0.2 percentage points; 95% CI for noninferiority, −4.7 to 4.3; P=0.004; risk ratio, 0.98; 95% CI for superiority, 0.62 to 1.55; P=0.93)を認めました。経口抗凝固療法は、44例(13.3%)、32例(9.6%)受けていました。経カテーテル的大動脈弁留置術後、経口抗凝固療法の適応ではないと判断された例において、アスピリン単独群は、アスピリンとクロピドグレルの併用群と比べて、1年間の出血、出血と血栓塞栓性事象の複合の発生率は有意に減少しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2017815
経カテーテル的大動脈弁留置術後、抗凝固療法が行えない場合の抗血栓療法はどうすれば良いか調べた研究です。アスピリンとクロピドグレルの抗血小板薬2剤併用ではなく、アスピリン単独で良いとの報告です。詳しくは主治医と相談ください。


PAGETOP