2020/11/10、夜間血圧変動と心血管予後の関係を調べた研究「Nighttime Blood Pressure Phenotype and Cardiovascular Prognosis: Practitioner-Based Nationwide JAMP Study」の要旨をまとめました。

2020/11/10、夜間血圧変動と心血管予後の関係を調べた研究「Nighttime Blood Pressure Phenotype and Cardiovascular Prognosis: Practitioner-Based Nationwide JAMP Study」の要旨をまとめました。自由行動下及び家庭血圧測定は診察室血圧測定と比べて、心血管事象の優れた予測因子ですが、心不全リスクとの関係は十分にわかっていませんでした。「JAMP study」(Japan Ambulatory Blood Pressure Monitoring Prospective)研究では、高血圧を対象に、自由行動下血圧測定器を使用、測定スケジュール、毎日との血圧測定を実施、夜間高血圧(nocturnal hypertension)、夜間の血圧低下パターン(nighttime BP dipping patterns)、心不全、心血管事象の発生との関係を調べました。少なくとも1項目以上の心血管危険因子、ほとんどが高血圧あり、ベースラインにおいて心血管疾患の兆候のない例を対象に、かかりつけ医主導全国多施設前向き観察研究を実施しました。全例、ベースラインにおいて24時間自由行動下血圧測定を実施しました。1年ごとに追跡、主要評価項目の心血管事象(動脈硬化性心血管疾患、心不全)を評価しました。結果、6359例、平均年齢68.6歳、男性48%、最終解析をしました。中央値4.5年の追跡、心血管事象306例、脳卒中119例、冠動脈疾患99例、心不全88例発生しました。夜間収縮期血圧は心血管疾患、心不全リスクの有意な関連(hazard ratio adjusted for demographic and clinical risk factors per 20-mm Hg increase: 1.18 [95% CI, 1.02-1.37], P=0.029; and 1.25 [95% CI, 1.00-1.55], P=0.048, respectively)を認めました。概日血圧リズムの破綻(上昇パターン、夜間血圧が日中血圧と比べて上昇)は、正常な概日血圧リズムと比べて、心血管疾患リスク(1.48 [95% CI, 1.05-2.08]; P=0.024)、特に心不全リスク(2.45 [95% CI, 1.34-4.48]; P=0.004)の有意な上昇と関連を認めました。夜間血圧値、上昇パターンは心血管疾患の発症率、特に心不全の独立して関連を認めました。本所見から夜間の収縮期血圧を標的とした降圧薬の戦略の重要性を示唆するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33131317
夜間高血圧は、心血管疾患、心不全リスクであったという報告です。夜間血圧上昇パターン(riser pattern)は心血管疾患1.48倍、心不全2.45倍のリスクでした。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1116533396
2019年の「Hygia」試験で、降圧薬の内服タイミングを就寝前にすることで、心筋梗塞や脳卒中による死亡44%減少、心筋梗塞66%減少、冠動脈カテーテル治療60%減少、心不全58%減少、脳卒中51%減少と、大幅な減少を認めるという研究結果が話題となりました。夜間降圧薬を意識した治療が重要であるということを支持するものではないでしょうか。詳しくは下記ページをご覧ください。
2019/10/22(金)、降圧薬の内服タイミングと心血管疾患の発症との関係を調べた研究「Bedtime hypertension treatment improves cardiovascular risk reduction: the Hygia Chronotherapy Trial」の結果が発表されました。
https://ochanomizunaika.com/12228


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