2020/10/27、急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後、総有害臨床事象について、チカグレロル、クロピドグレルを比較した研究「Association of Ticagrelor vs Clopidogrel With Net Adverse Clinical Events in Patients With Acute Coronary Syndrome Undergoing Percutaneous Coronary Intervention」の要旨をまとめました。現在のガイドラインでは、急性冠症候群、P2Y12血小板阻害薬の推奨として、1つの大規模無作為化臨床試験の結果に基づいて、チカグレロルが推奨されています。日常診療として、チカグレロル、クロピドグレルのベネフィット、リスク、急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後の臨床として、チカグレロル、クロピドグレル、虚血性、出血性事象との関係を調べるために、2011年から2019年、アメリカ、電子カルテ記録データベース、韓国のデータベースを使用、急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術、チカグレロル、クロピドグレル、後ろ向きコホート研究を実施しました。大規模傾向スコアアルゴリズムを使用して一致、2019年追跡しました。チカグレロルとクロピドグレル、主要評価項目は12ヶ月後の総有害臨床事象(心筋梗塞の再発、血行再建、虚血性脳卒中)、出血性事象(出血性脳卒中、消化管出血)としました。副次評価項目は、12ヶ月後の総有害臨床事象、死亡率、全死亡、虚血性事象、出血性事象、呼吸困難としました。データベースレベルハザード比、ハザード比、無作為化影響メタ解析、ハザード比の累積概要を算出しました。結果、傾向スコアマッチング後、傾向マッチペア31290例、年齢中央値60-64際、女性29.3%、チカグレロル、クロピドグレル、アスピリン95.5%投与されていました。総有害臨床事象の1年リスクは、チカグレロル群、クロピドグレル群、有意差(15.1% [3484/23 116 person-years] vs 14.6% [3290/22 587 person-years]; summary HR, 1.05 [95% CI, 1.00-1.10]; P = .06)を認めました。全死亡リスク(2.0% for ticagrelor vs 2.1% for clopidogrel; summary HR, 0.97 [95% CI, 0.81-1.16]; P = .74)、虚血性事象(13.5% for ticagrelor vs 13.4% for clopidogrel; summary HR, 1.03 [95% CI, 0.98-1.08]; P = .32)、有意差を認めませんでした。出血性事象リスク(2.1% for ticagrelor vs 1.6% for clopidogrel; summary HR, 1.35 [95% CI, 1.13-1.61]; P = .001)、呼吸困難(27.3% for ticagrelor vs 22.6% for clopidogrel; summary HR, 1.21 [95% CI, 1.17-1.26]; P < .001)は、チカグレロル群で有意に高値でした。日常臨床において、急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後、チカグレロルはクロピドグレルと比べて、12ヶ月間の総有害臨床事象リスクは有意差を認めませんでした。潜在的な交絡因子を除外出来ていない可能性があるため、チカグレロルがクロピドグレルと比べて有効であるかさらなる研究が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2772280
急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後の抗血小板薬の選択です。日本ではアスピリン(バイアスピリン)、プラスグレル(エフィエント)の組合せが一般的です。
2020/10/27、急性冠症候群、経皮的冠動脈形成術後、総有害臨床事象について、チカグレロル、クロピドグレルを比較した研究「Association of Ticagrelor vs Clopidogrel With Net Adverse Clinical Events in Patients With Acute Coronary Syndrome Undergoing Percutaneous Coronary Intervention」の要旨をまとめました。