2020/12/25、直接経口抗凝固薬の内服中の軽度頭部外傷と有意な脳挫傷リスクとの関係「Risk of significant traumatic brain injury in adults with minor head injury taking direct oral anticoagulants: a cohort study and updated meta-analysis」の要旨をまとめました。

2020/12/25、直接経口抗凝固薬の内服中の軽度頭部外傷と有意な脳挫傷リスクとの関係「Risk of significant traumatic brain injury in adults with minor head injury taking direct oral anticoagulants: a cohort study and updated meta-analysis」の要旨をまとめました。直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants: DOACs)内服中の軽度頭部外傷は、兆候、症状に関わらず、頻繁に頭部CTを撮影します。しかしながら、直接経口抗凝固薬内服中の頭蓋内出血のリスクは十分にわかってなく、「UK National Institute for Health and Care Excellence」の頭部外傷ガイドライングループからはさらなる研究が推奨されていました。2018年、イギリス南ヨークシャー、大規模外傷センターにて観察コホート研究を実施しました。直接経口抗凝固薬内服中、軽度頭部外傷、前向きに特定、救急部情報技術システム、放射線スクリーニングによって収集しました。臨床、転帰データは電子カルテ記録から収集しました。主要評価項目は30日以内の有害転帰、脳外科手術、頭蓋内出血、頭部外傷由来の死亡としました。過去の出版されたメタ解析を今回の結果、他の最近の研究とともにアップデートしました。結果、軽度頭部外傷148例、GCS 15点107例(72%)、GCS 14点41例(28%)でした。中央値年齢82歳、最も頻度が高い外傷は地面レベルの転倒142例(96%)でした。有害転帰の全体のリスクは3.4%(5/148, 95% CI 1.4% to 8.0%)でした。頭蓋内出血5例、30日以内の死亡1例でした。プロトロンビン複合体製剤による治療1例ありましたが、集中治療、脳外科治療は1例もありませんでした。本結果、他の2本の研究も含む無作為化影響メタ解析の結果、有害転帰の全体のリスク3.2%(n=29/787, 95% CI 2.0% to 4.4%)でした。直接経口抗凝固薬内服中の軽度頭部外傷の有害事象リスクは高くないことがわかりました。本所見は直接経口抗凝固薬内服中の軽度頭部外傷において、一律の画像検査よりも患者主治医共有意志決定の重要性を支持するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://emj.bmj.com/content/37/11/666
抗凝固薬内服中は出血リスクに注意すべきですが、地上レベル転倒等の軽度の頭部外傷の場合はルーチンに頭部画像検査を撮るほどではないというイギリスからの報告です。

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