2021/1/1、肥大型心筋症の診断とリスク層別化、機械学習を用いた壁厚測定についての研究「Diagnosis and risk stratification in hypertrophic cardiomyopathy using machine learning wall thickness measurement: a comparison with human test-retest performance」の要旨をまとめました。

2021/1/1、肥大型心筋症の診断とリスク層別化、機械学習を用いた壁厚測定についての研究「Diagnosis and risk stratification in hypertrophic cardiomyopathy using machine learning wall thickness measurement: a comparison with human test-retest performance」の要旨をまとめました。左室最大壁厚(Left ventricular maximum wall thickness: MWT)は肥大型心筋症の診断、リスク層別化において中心的な役割ですが、人間による測定にはばらつきがあります。左室最大壁厚測定の自動機械学習アルゴリズムを開発、肥大型心筋症のデータセットを使用、11名の国際エキスパート、臨床家の測定と比較しました。2018円から2019年まで、イギリス、バーツ心臓病センター、ロンドン大学病院、リーズ教育病院国民保健サービストラスト、肥大型心筋症遺伝子変異保有者も含む成人の肥大型心筋症60例を登録しました。同日2回の心臓MRI撮影、4つの心臓MRI撮影モデル、2手法、4フィールド強度、心筋バイアビリティを評価しました。拡張末期短軸最大壁厚は6カ国、9施設、11名のエキスパート及び、1923例の多施設複数データセットによってトレーニングされた自動機械学習手法によって測定しました。機械学習最大壁厚測定はラプラス方程式の解に基づいて解析しました。検査ごとの再現可能性(reproducibility)を評価するために、検査と再検査の最大壁厚の絶対差、偏差の変動係数、15mm、30mmの異なる閾値ごとで、再分類の数を評価しました。機械学習とエキスパートの測定の事前設定最大壁厚の変化を検出するのに必要なサンプル数を計算しました。結果、1440例の測定を解析、2回の撮影、60例、11のエキスパート、1の機械学習、合計12の観察者について、エキスパートの最大壁厚測定はばらつきがあり、14.9mmから19.0mmで有意差(4·7; p<0·0001 for trend)を認めました。機械学習測定の最大壁厚の平均値は16.8mm(4·1)でした。機械学習の測定は、検査と再検査の差は0.7mm(0·6)で、エキスパートは検査と再検査の差は1.1mm(0.9)から3.7mm(2.0)で、有意な優越性(2·0; p values for machine learning vs expert comparison ranging from <0·0001 to 0·0073)を認め、全てのエキスパートと比べて変動係数は有意に低値(4·3% [95% CI 3·3–5·1] vs 5·7–12·1% across experts)でした。平均として、38例(64%)は機械学習によって15mm以上と分類、エキスパートによって27例(45%)から50例(83%)でしたが、5例(8%)は機械学習によって再分類、4例(7%)から12例(20%)はエキスパートによって再分類されました。埋込み型心室除細動器のカットオフ値を30mmとした場合、全体として4回、3人のエキスパートは推奨を変更しましたが、機械学習は一貫していました。機械学習を使用することで、最大壁厚2mmの変化を検出するための臨床試験の症例数は2.3倍(range 1·6–4·6)少なくすることが可能でした。本予備試験において、肥大型心筋症における機械学習による最大壁厚測定は、診断、リスク層別化、臨床試験への応用において人間よりも優れている可能性が示唆されました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(20)30267-3/fulltext
肥大型心筋症の心室の壁厚測定において、エキスパートの人間よりも機械学習のほうがばらつきが少なく、再現性が高かったとの報告です。単に測定、診断ということに関しては人間よりも機械にまかせていく時代になっていくことは間違いないでしょう。

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