2021/1/1、糖尿病性網膜症発症の機械学習によるリスク予測について調べた研究「Predicting the risk of developing diabetic retinopathy using deep learning」の要旨をまとめました。糖尿病性網膜症(Diabetic retinopathy)のスクリーニングは失明を防ぐために有益ですが、糖尿病の患者数の増加が原因で、スクリーニングの拾い上げは課題となっています。糖尿病患者が2年間で糖尿病性網膜症の発症リスクを予測する機械学習システムを実装しました。プライマリケア環境で、糖尿病で糖尿病性網膜症の遠隔スクリーニング、糖尿病性網膜症の予測するための機械学習システムを2バージョン実装、検証しました。2バージョンのインプットは、眼底写真の3フィールドまたは1フィールドセットでした。575431例のうち、28899例は転帰がわかっており、546532例を複数タスクトレーニングを通じて訓練過程に使用しました。検証は2つのデータセットから無作為選択、アメリカの遠隔スクリーニングサービス「EyePACS」転帰の判明している3678例にて内部検証、タイにて転帰の判明している2345例にて外部検証を行いました。結果、内部検証において3フィールド機械学習システムの受信者操作特性曲線下面積は0.79(95% CI 0·77–0·81)でした。1フィールドのみの眼底写真の外部検証セットの評価においては、1フィールド機械学習システムの曲線下面積は0.70(0·67–0·74)でした。内部検証セットにおいて、入手可能なリスク因子の曲線下面積は0.72(0·68–0·76)、リスク因子を含めた後の機械学習システムの曲線下面積0.81(0·77–0·84)、有意差(p<0·0001)を認めました。外部検証セットにおいて、曲線下面積は0.62(0·58–0·66)から入手可能なリスク因子を機械学習システムに追加したところ0.71(0·68–0·75)に向上、有意差(p<0·0001)を認めました。機械学習システムは眼底写真を使用した糖尿病性網膜症発症を予測、システムは入手可能なリスク因子よりも独立して有益でした。このようなリスク層別化ツールは視力関連転帰の改善しつつ、スクリーニング間隔の最適化、コスト削減を実現に役立つ可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(20)30250-8/fulltext
糖尿病性網膜症のスクリーニングとして50万枚以上の眼底画像を機械学習したアルゴリズムを開発したところ、曲線下面積0.70程度の正確性に達したとの報告です。糖尿病合併症の一つ、糖尿病性網膜症のチェックは重要ですが、勿論、特に糖尿病性網膜症なしの場合も多くあります。どの程度の期間ごとにチェックが必要なのか参考となる指標があると助かりますね。
2021/1/1、糖尿病性網膜症発症の機械学習によるリスク予測について調べた研究「Predicting the risk of developing diabetic retinopathy using deep learning」の要旨をまとめました。