2020/11/25、第2世代、第3世代薬剤溶出性ステント留置後の長期追跡、ステント内血栓症における血管内皮新生、血小板反応性の影響について調べた研究「Impact of Neointimal Condition and Platelet Reactivity on Intrastent Thrombus at Long-Term Follow-up After 2nd- and 3rd-Generation Drug-Eluting Stent Implantation – Insights From a Coronary Angioscopy and Pharmacodynamic Study」の要旨をまとめました。

2020/11/25、第2世代、第3世代薬剤溶出性ステント留置後の長期追跡、ステント内血栓症における血管内皮新生、血小板反応性の影響について調べた研究「Impact of Neointimal Condition and Platelet Reactivity on Intrastent Thrombus at Long-Term Follow-up After 2nd- and 3rd-Generation Drug-Eluting Stent Implantation – Insights From a Coronary Angioscopy and Pharmacodynamic Study」の要旨をまとめました。遅発性ステント不良(very late stent failure: VLSF)の発生は世代の新しい薬剤溶出性ステントによって減少しましたが、遅発性ステント不良のメカニズムは完全には解明されていません。急性冠症候群、第2世代、第3世代の薬剤溶出性ステント留置後、長期追跡において、冠動脈内視鏡(coronary angioscopy)にて局所血管修復、全身性因子として血小板反応性を評価しました。冠動脈内視鏡にて、新生血管カバレッジ(neointimal coverage :NIC)、イエローカラー(yellow color: YC)グレード、血栓症の有無を評価しました。所見を第2、第3世代薬剤溶出性ステントを比較しました。血小板凝集は透過光血小板凝集検査法(light transmittance aggregometry)にて評価しました。連続100例、前向きに登録、第2世代50例、第3世代薬剤溶出性ステント50例でした。第3世代薬剤溶出性ステントは第2世代薬剤溶出性ステントと比べて、NICグレード高値、イエローカラーグレード低値、有意差を認めました。血栓症は第3世代薬剤溶出性ステントが第2世代薬剤溶出性ステントと比べて低い傾向(8% vs. 18%, P=0.11)でした。血栓症あり例では、血栓症なし例と比べて、血小板凝集最大値の高値、治療部位の血小板反応性の高値でした。多変量解析では、ステントストラット暴露、治療部位血小板反応性は血栓症の独立した予測因子でした。新しい世代の薬剤溶出性ステントは新生内皮カバレッジ、血管修復の改善を認めました。さらに、ステント病変の局所因子、血小板反応性等の全身性因子が遅発性ステント不良に関連している可能性が示唆されました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33162462
遅発性ステント不良はステントの改良によって減少傾向ですが、血小板凝集、ステント留置部の血管修復が関連しているとの報告です。ステント内血栓症はステント留置後1年以内が多いですが、1年後以降も気を抜けないということです。お茶の水循環器内科で定期的に冠動脈CT等の検査をするのはこのためです。

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