2020/12/22、心房細動の心拍数コントロールと自覚症状におけるジゴキシンとビソプロロールの効果を比較した研究「Effect of Digoxin vs Bisoprolol for Heart Rate Control in Atrial Fibrillation on Patient-Reported Quality of Life: The RATE-AF Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。

2020/12/22、心房細動の心拍数コントロールと自覚症状におけるジゴキシンとビソプロロールの効果を比較した研究「Effect of Digoxin vs Bisoprolol for Heart Rate Control in Atrial Fibrillation on Patient-Reported Quality of Life: The RATE-AF Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。永続性心房細動、特に心不全の合併例における心拍数コントロール治療の選択の支持に関して十分なエビデンスがありませんでした。低用量ジゴキシンとβ遮断薬ビソプロロールを比較、60歳以上の永続性心房細動(洞調律復帰の計画がないと定義)、NYHAクラスII以上の息切れを認める160例、無作為化オープンラベル評価項目盲検試験を実施しました。2016年から2018年、イギリス、3病院とプライマリケア施設、2019年まで追跡しました。ジゴキシン群80例、投与量範囲62.5-250μg/d、平均投与量161μg/d、ビソプロロール群80例、投与量範囲1.25-15mg/d、平均投与量3.2 mg/dでした。主要評価項目は6ヶ月後の「SF-36PCS」(Short Form Health Survey physical component summary score)による患者報告生活の質、最小臨床有意差0.5標準偏差としました。副次評価項目として6ヶ月後の17項目、安静時心拍数、修正ヨーロッパ不整脈学会症状分類、NT-proBNP、12ヶ月後の20項目、有害事象報告としました。結果、160例、平均年齢76歳、女性74例(46%)、登録時の平均心拍数100/min、試験完了150例(94%)、評価項目の解析に組み込みました。6ヶ月後のSF-36PCSの値の主要評価項目は有意差なし(mean, 31.9 [SD, 11.7] for digoxin vs 29.7 [11.4] for bisoprolol; adjusted mean difference, 1.4 [95% CI, −1.1 to 3.8]; P = .28)でした。6ヶ月後の17項目の副次評価項目のうち16項目、安静時心拍数(a mean of 76.9/min [SD, 12.1/min] with digoxin vs a mean of 74.8/min [SD, 11.6/min] with bisoprolol; difference, 1.5/min [95% CI, −2.0 to 5.1/min]; P = .40)は有意差を認めませんでした。6ヶ月後の修正ヨーロッパ不整脈学会症状分類は両群間で有意差(53% of patients in the digoxin group reported a 2-class improvement vs 9% of patients in the bisoprolol group (adjusted odds ratio, 10.3 [95% CI, 4.0 to 26.6]; P < .001)を認めました。12ヶ月後の20項目の副次評価項目のうち8項目においてジゴキシン群で良好、NT-proBNP値はジゴキシン群960pg/mL(interquartile range, 626 to 1531 pg/mL)、ビソプロロール群1250pg/mL(interquartile range, 847 to 1890 pg/mL)、有意差(ratio of geometric means, 0.77 [95% CI, 0.64 to 0.92]; P = .005)を認めました。有害事象はジゴキシン群20例(25%)、ビソプロロール群51例(64%)、有意差(P < .001)を認めました。治療関連有害事象、深刻な有害事象はそれぞれ、ジゴキシン群29例、16例、ビソプロロール群142例、37例でした。永続性心房細動、心不全症状を認める例において、低用量ジゴキシン、ビソプロロール投与は6ヶ月後の生活の質において統計学的有意差を認めませんでした。本所見から、治療選択の意思決定は他の評価項目に基づいて行うことを支持するものです。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2774407
心房細動のレートコントロールにはβ遮断薬をよく使いますが、低用量のジゴキシンも悪くないという報告です。ジゴキシンを使い慣れた医師、薬剤師のもとで治療を行うのが良いでしょう。詳しくは主治医までご相談ください。

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