2020/12/1、フォトプレチィスモグラフィによる心拍変動について調べた研究「Heart rate variability with photoplethysmography in 8 million individuals: a cross-sectional study」の要旨をまとめました。心拍変動(Heart rate variability)、連続した心拍間隔の時間変動は、自律神経系の非侵襲的な全身指標、心血管死亡の独立したリスク因子として知られています。Fitbit、フォトプレチィスモグラフィ(photoplethysmography)を使用した市販の手首式トラッキングデバイスは、脈拍間隔解析によって交感、副交感神経系活動のサロゲート指標の連続測定の新しい可能性があります。FitBitデバイスユーザーにおいて、手首式トラッキングデバイスにて心臓自律能の測定を目指して、Fitbitデバイスの中央データベース、24時間を無作為に選択、脈拍間隔データを収集、横断研究を実施しました。過去90日間の年齢、性別、BMI、1日あたりの歩数を収集しました。脈拍間隔データから心拍変動の特徴を計算しました。心拍変動指標、連続RR間隔差の二乗の平均値の平方根(root mean square of successive RR interval differences: RMSSD)、RR間隔の標準偏差(SD of the RR interval: SDRR)、高周波と低周波パワーによって測定された周波数、ポアンカレプロット図解を解析しました。周波数領域指標として5分間、図解領域として60分間測定しました。参加データは、年齢、性別、測定時間、身体活動等の確立された心拍変動指標の相関関係について解析しました。ユーザーごとの心拍変動指標をベンチマークしました。結果、Fitbitユーザー8203261例、2018年に収集しました。心拍変動指標は年齢とともに低下、副交感神経機能は交感神経機能よりも早く低下します。心拍変動の変動と強い相関関係を認めました。RR間隔の標準偏差、低周波パワー、ポアンカレ第2象限は性別と有意な変動を認めましたが、一方で、連続RR間隔差の二乗の平均値の平方根、高周波パワー、ポアンカレ第1象限においては認めませんでした。男性において、0600 hから0700 hに測定した場合、年齢20歳から80歳で、低周波数パワーの中央値は66.65%低下、高周波数パワーは82.0%低下しました。女性においてはそれぞれ69.3%、80·9%でした。40歳から41歳、0600 hから0700 hに測定、男性と女性で低周波数パワーを比較したところ、男性でパワー過剰で、Cohenのd影響サイズは0.33でした。高周波数パワーについては影響サイズ−0·04でした。毎日の身体活動が増加することは、年齢、性別を超えて、心拍変動の測定と用量依存的に高い相関を認めました。異なる年齢、性別、1日2回の測定で、連続RR間隔差の二乗の平均値の平方根、RR間隔の標準偏差、高周波数パワー、低周波数パワー、ポアンカレ第1象限、第2象限のベンチマークを提供しました。心臓自律神経健康の様々な指標は手首式トラッカーで検出可能な可能性があります。心拍変動の経験的分布は個別の解釈のフレームワークとして使用可能な可能性があります。身体活動を増やすことは心拍変動を改善する可能性がありますが、確定のためには前向き試験が必要です。
https://www.thelancet.com/journals/landig/article/PIIS2589-7500(20)30246-6/fulltext
Fitbitにて色々な身体活動が測れる可能性があるという論文です。循環器内科としては心拍数だけではなく心電図が記録出来るようにして欲しいものです。ちなみに、ちょうど2021/1/14、FitbitがGoogle傘下になったと発表がありました。
https://blog.fitbit.com/JP-2021-update
2020/12/1、フォトプレチィスモグラフィによる心拍変動について調べた研究「Heart rate variability with photoplethysmography in 8 million individuals: a cross-sectional study」の要旨をまとめました。