2021/1/26、血行再建を必要とする複雑冠動脈疾患に対するエボロクマブの有効性について調べた研究「Effect of Evolocumab on Complex Coronary Disease Requiring Revascularization」の要旨をまとめました。血行再建を必要とする複雑冠動脈動脈硬化のリスク低下に対するPCSK9阻害薬(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 inhibitor)、エボロクマブの有効性を評価しました。PCSK9阻害薬はプラーク退縮、冠動脈血行再建のリスクを低下します。「FOURIER」(Further Cardiovascular Outcomes Research with PCSK9 Inhibition in Subjects with Elevated Risk)は、スタチン投与中の安定動脈硬化性心血管疾患27564例を対象に、PCSK9阻害薬エボロクマブ、プラセボ対照、中央値2.2年間追跡、無作為化試験です。血行再建事象の臨床記録は冠動脈解剖、手技特徴の評価とは盲検化されました。複雑血行再建は、1枝以上の多枝経皮的冠動脈形成術、3本以上のステント、3枝以上の病変、分岐部経皮的冠動脈形成術、総ステント長60mm以上の複雑経皮的冠動脈形成術、または冠動脈バイパス術の複合としました。結果、冠動脈血行再建1724例、経皮的冠動脈形成術1482例、冠動脈バイパス術296例、両方実施54例でした。複雑血行再建632例(37%)でした。エボロクマブは、冠動脈血行再建全体22%(hazard ratio [HR]: 0.78; 95% CI: 0.71 to 0.86; p < 0.001)、単純経皮的冠動脈形成術22%(HR: 0.78; 95% CI: 0.70 to 0.88; p < 0.001)、複雑血行再建33%(HR: 0.67; 95% CI: 0.54 to 0.84; p < 0.001)、冠動脈バイパス術24%(HR: 0.76; 95% CI: 0.60 to 0.96; p = 0.019)、複雑血行再建全体29%(HR: 0.71; 95% CI: 0.61 to 0.84; p < 0.001)、リスク減少を認めました。エボロクマブの複合血行再建のリスク減少の影響は、時間に従って増大(20%, 36%, and 41% risk reductions in the first, second, and beyond second years)を認めました。 スタチン投与にエボロクマブを追加することは、複合経皮的冠動脈形成術、冠動脈バイパス術、それぞれを含む血行再建を必要とする複合冠動脈疾患の進行リスクを有意に減少しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2020.11.011
PCSK9阻害薬エボロクマブ(レパーサ)の二次予防効果です。冠動脈血行再建22%、複雑血行再建33%、冠動脈バイパス術24%減少という驚異的な効果です。PCSK9阻害薬恐るべしです。PCSK9阻害薬のデメリットは薬価、注射薬であること、使用可能施設が限られることです。
2021/1/26、血行再建を必要とする複雑冠動脈疾患に対するエボロクマブの有効性について調べた研究「Effect of Evolocumab on Complex Coronary Disease Requiring Revascularization」の要旨をまとめました。