2021/3/5、雑感「新型コロナウイルスワクチン接種が始まって」をまとめました。
2021/3/5、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県を対象に緊急事態宣言が再延長が発表されました。また延長か、この自粛生活がいつまで続くのか、緊急事態宣言を解除してまた感染者が増えたら緊急事態宣言をしてという繰り返しを今後も終わりがないのか、と心配されるかも知れませんが、今までと大きな違いがワクチンが日本で接種開始されたことです。2021/2/17、日本で投与開始となったファイザー/ビオンテック社のCOVID-19ワクチン「コミナティ」の論文を以前まとめました。
「2020/12/31、mRNA COVID-19ワクチン「BNT162b2]の安全性、有効性について調べた研究「Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine」の要旨をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/23055
2020/3/5現在、まだ医療従事者のみという状況、医療従事者の中でも新型コロナウイルス感染症診療に従事する一部の医療従事者から開始で、お茶の水循環器内科等の一般の診療所にはまだ回って来ていない状況ですが、今後、一般の医療従事者、次に優先接種の対象者、その後に全体へ、他のメーカーのワクチンも含めて、ワクチンの供給が広がっていくでしょう。論文の情報が正しければワクチンの有効性は非常に高いです。ワクチンをすぐに打つ人、打ちたい人もいれば、打たない人、打ちたくない人も当然いるでしょうが、ワクチンを打った人はほとんど新型コロナウイルスに感染せずに、重症化もしないという社会がやって来るでしょう。
新型コロナウイルスの終息について、100%私見ですが、まとめてみましょう。まず「終息」とは何か?ですが、「根絶」とは違います。新型コロナウイルスが市中感染になっている以上、根絶は不可能ですし、目指すことも現実的ではありません。ではどうするか?新型コロナウイルスに感染する人はゼロにはならない、有効性が非常に高いワクチンがあるのでワクチンで防ぎたい人はワクチンで防ぐ、ワクチンを打ちたくない人は新型コロナウイルスに感染、重症化するリスクをある程度容認、感染対策を続ける、年齢、基礎疾患によっては一定数重症化してしまう、そのための病床、医療従事者等の医療資源が確保されており、かつ、だからと言って社会経済活動も極度の自粛を必要としないで維持されている状態、これが新型コロナウイルス感染症の「終息」の現実的な具体像でしょう。
何かと似ていますね。そうです、毎年の季節性の風邪、インフルエンザと原理的にはほとんど同じです。重症化リスク、感染力、ワクチンの有効性、長期の安全性等、細かなところは同一ではありませんが、ウイルス感染症としての挙動は多くの部分は共通します。インフルエンザワクチンは日本人1億2000万人のうち、全員は打っていません。任意接種であって義務ではないからです。だいたい2500万人くらいが打っています。5人に1人くらい、逆に言えば打っていない人のほうが多いのです。またインフルエンザワクチンは完璧なワクチンではありません。感染予防効果は半分程度と言われているので、打ってもかかることはありますし、毎年のように変異するので、毎年ワクチンを打つ必要があります。ワクチンの効果は1年もありません。数ヶ月くらいと言われています。10月頃に打つと、翌4月頃にはワクチンの効果は切れてしまっていると言われています。
結論から言うと、新型コロナウイルスワクチンもこれと似たような形になるのではないかと予測しています。ある医療機関で全員インフルエンザワクチンを打つとします。すると、インフルエンザの患者さんが来ても、職員がインフルエンザになることをある程度防げます。仮に発症したとしても軽症で済みます。毎年、病院で医師、看護師、職員がインフルエンザで休むことはあります。しかし、そのたびに、いちいち病院閉鎖、外来閉鎖、救急停止などはやっていません。「インフルエンザクラスター」とニュースになることもありません。ワクチンを打って予防としてやるだけのことをやるだけです。一方で、ワクチンを打っていないと感染しやすくなります。重症化しやすくなります。インフルエンザワクチンを打っていてもインフルエンザになることはありますが、インフルエンザワクチンを打っていないでインフルエンザになると、悲しいことに自己管理がなっていないと見られてしまう職場もあります。私が以前勤めていた病院では、インフルエンザワクチンを打っていないでインフルエンザに掛かって、院内感染の原因になったり、数日仕事を休むとさすがに怒られました。インフルエンザワクチンを売っていれば、ワクチン打っていても掛かることはあるから仕方ない、よく休んで、で済みました。人間とはそういうものです。ワクチンの純粋な医学的効果とは別のワクチンの社会的効果と呼んでも良いかも知れません。一方で、インフルエンザワクチンを打っていなくても、全然インフルエンザにかからない人もいます。インフルエンザワクチンはそもそも日本人の9500万人が打っていません。でも、普段インフルエンザワクチンを打たない人も、妊娠中、小さい子供がいたり、家族に受験生がいると、その年だけは家族全員打ったりします。何が言いたいかというと、新型コロナウイルスワクチンもそれと似た扱いになるのではないかというイメージしています。
ワクチンの登場で、感染リスクを自分でコントロール出来るようになるのです。一応、医療従事者は非医療従事者と比べて、重症化例、後遺症が残ってしまった例、死亡例を多く経験しているため、防げる病気は防ぐようにとワクチンを奨めるでしょう。でも、強制力はありませんし、最終的に自分の感染リスクをどうしたいのかは個人の考えであり、個人の自由です。ちなみに、五十嵐は即打ちます。打つことのデメリットよりも、打たないで、新型コロナウイルスに掛かって重症化したり、後遺症が残ったらきっと後悔するからです。日本全体としては、当然、打つ人と打たない人がいて、それぞれ相手の意見を批判したり軽視したりするかも知れません。しかし、最終的には個人の自由なので、自分はどうしたいかで決めれば良いのです。自分と意見が違う人のことは特に気にする必要はありません。誰も自分以外の人の行動を強制する権利はないからです。これは宗教でも食事の嗜好でも全部同じです。話が逸れました。
さて、全く根拠はありませんが、日本人全体の40%程度がワクチンを打つのではないかとイメージしています。20%程度の人しか打っていないインフルエンザワクチンの倍です。すごいことです。ワクチンを打っている人が多いコミュニティ、家族、職場では新型コロナウイルスの流行は起きにくくなり、そうではないところでは起きやすくなるでしょう。結果、社会全体としては感染者数へ減少していき、一定のところで収まるでしょう。社会経済活動は徐々に正常化していくでしょう。新型コロナウイルス感染症の重症化はゼロにはならないですし、死亡数もゼロにはならないでしょう。しかし、医療資源を超えること、救急車を呼んでも来ない、受け入れる病院が見付からない、病床がいっぱいで入院出来ない、医療従事者が疲弊してしまうということは今よりはなくなっていくでしょう。社会生活は徐々に日常を取り戻していくでしょう。飲み会も旅行も部活やサークルもまあまあ以前のように出来るようになります。これが「終息」です。
「終息」という言葉から思い浮かべる状態と少しイメージが違うかも知れませんが、おそらく現実的に起こる「終息」はこのイメージだと考えています。以前の社会生活と完全に同じ状態に戻すことは目的ではありませんが、近い状態には戻っていくでしょう。新しい生活様式を受け入れて、新しいサービス、ビジネス、新しい価値観、考え方も生まれて来ており、それも全部消えてしまう訳ではなく残っていくでしょう。以上のことが早ければ2021年度のうちに起こると勝手に予測しています。ちなみに、医療機関の役割も今回変わりました。今後、戻るものと変わったまま戻らないものと2種類があるでしょう。が、この話は長くなるのでまた別の機会に。以上、久しぶりの雑感でした。
新型コロナウイルスに関しては以前も雑感をまとめていました。
「2020/5/25、雑感「新型コロナウイルス危機第一波を振り返って」をまとめました。」
https://ochanomizunaika.com/16751
2020/9/1、雑感「初めての秋冬の新型コロナウイルス共存時代を目前にして」をまとめました。
https://ochanomizunaika.com/18871