2021/2/24、高齢者の心房細動のスクリーニングにおいて2週間の持続的心電図記録の有用性について調べた研究「Screening for Atrial Fibrillation in the Older Population A Randomized Clinical Trial」の結果が発表されました。

2021/2/24、高齢者の心房細動のスクリーニングにおいて2週間の持続的心電図記録の有用性について調べた研究「Screening for Atrial Fibrillation in the Older Population A Randomized Clinical Trial」の結果が発表されました。心房細動は予防可能な脳卒中(preventable stroke)の主要な原因の一つです。無症状の心房細動のスクリーニングは脳卒中予防のための抗凝固薬投与を増加させる可能性があります。2種類の家庭の心房細動スクリーニング介入を評価するために、75歳以上、高血圧あり、既知の心房細動なし、プライマリケア施設にて多施設無作為化臨床試験を実施しました。2015年から2019年、48施設、856例が参加しました。対照群は従来通り、一律の臨床追跡に加えて、登録時と6ヶ月後の脈拍チェック、心音聴診としました。スクリーニング群は従来通りに加えて、2週間の連続心電図(continuous electrocardiographic: cECG)パッチモニターを登録時、3ヶ月後に実施しました。スクリーニング群はさらに心房細動スクリーニングの振動測定法機能ありの自動家庭血圧計にて、1日2回、持続的心電図期間に測定しました。意図処置解析にて、主要評価項目は6ヶ月以内の持続的心電図または臨床追跡による心房細動の検出としました。副次評価項目は抗凝固薬の投与、アドヒアランス、血圧計による心房細動の検出としました。結果、参加者856例、女性487例(56.9%)、平均年齢80.0歳でした。持続的心電図の着用時間の中央値は28日間のうち27.4日でした。一次解析において、心房細動はスクリーニング群434例中23例(5.3%)、対照群422例中2例(0.5%)検出、有意差(relative risk, 11.2; 95% CI, 2.7-47.1; P = .001; absolute difference, 4.8%; 95% CI, 2.6%-7.0%; P < .001; number needed to screen, 21)を認めました。持続的心電図によって心房細動を検出出来た例において、心房細動の総時間経過の中央値は6.3時間(IQR, 4.2-14.0 hours; range 1.3 hours-28 days)、最長の心房細動エピソードの中央値は5.7時間(IQR, 2.9-12.9 hours)でした。抗凝固療法は持続的心電図によって心房細動が検出された例20例のうち15例(75%)が開始しました。6ヶ月後、抗凝固療法はスクリーニング群434例中18例(4.1%)、対照群422例中4例(0.9%)に処方、有意差(relative risk, 4.4; 95% CI, 1.5-12.8; P = .007; absolute difference, 3.2%; 95% CI, 1.1%-5.3%; P = .003)を認めました。1日2回の家庭血圧計を用いた心房細動スクリーニングは感度35.0%(95% CI, 15.4%-59.2%)、特異度81.0%(95% CI, 76.7%-84.8%)、陽性適中率8.9%(95% CI, 4.9%-15.5%)、陰性適中率95.9%(95% CI, 94.5%-97.0%)でした。持続的心電図終了の前倒しが必要なほどの有害皮膚反応は参加者434例中5例(1.2%)に認めました。本無作為化臨床試験の結果、高血圧、高齢者において、ウエアラブル持続的心電図モニターによる心房細動スクリーニングは容認性良好、心房細動の検出は10倍に増加、ほとんどの例で抗凝固療法の開始の後押しとなりました。持続的心電図と比べて、家庭血圧計による間欠的振動測定法スクリーニングは発作性心房細動の検出のための戦略として劣性でした。ハード臨床評価項目による大規模試験は、心房細動スクリーニングの有益性、有害性の可能性に関して今後さらなる評価が必要です。詳しくは論文をご覧ください。
https://dx.doi.org/10.1001/jamacardio.2021.0038
心房細動スクリーニングにおいて14日間の持続的心電図モニタリングの有用性です。日常診療の心音聴診、脈拍チェック等のみでは不十分であり、モニタリング期間が長いほうが良いという報告です。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/202103/569539.html
今となっては、日本においてもアップルウォッチの心電図機能有効化によって、ほぼ常時心電図モニタリングが可能となりました。いかに長時間のモニタリングが有効かを裏付けるデータです。最近は、お茶の水循環器内科のあるビルの1階の「じゃんぱら」にアップルウォッチの4、5、6の在庫の取り揃えがあるようになりました。

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