2021/4/22、2017年アメリカ心臓病学会、アメリカ心臓協会の血圧ガイドラインの血圧分類と心不全、心房細動リスクの関係について調べた研究「Association of Blood Pressure Classification Using the 2017 American College of Cardiology/American Heart Association Blood Pressure Guideline with Risk of Heart Failure and Atrial Fibrillation」の結果が発表されました。

2021/4/22、2017年アメリカ心臓病学会、アメリカ心臓協会の血圧ガイドラインの血圧分類と心不全、心房細動リスクの関係について調べた研究「Association of Blood Pressure Classification Using the 2017 American College of Cardiology/American Heart Association Blood Pressure Guideline with Risk of Heart Failure and Atrial Fibrillation」の結果が発表されました。心不全、心房細動は世界的に増加傾向です。2017年、アメリカ心臓学会、アメリカ心臓協会の血圧ガイドラインのステージ1高血圧が心不全、心房細動の発生と関連しているかどうかを評価した研究はほとんどありませんでした。全国医療費請求データベースを使用、2005年から2018年の請求データ(n=2,196,437; mean age, 44.0±10.9 years; 584% men)を収集、解析しました。降圧薬の内服なし、既知の心血管疾患の既往なしでした。正常血圧(systolic BP [SBP]<120 mm Hg and diastolic BP [DBP]<80 mm Hg; n=1,155,885)、血圧上昇(SBP 120-129 mm Hg and DBP<80 mm Hg; n=337,390)、ステージ1高血圧(SBP 130-139 mm Hg or DBP 80-89 mm Hg; n=459,820)、ステージ2高血圧(SBP≥140 mm Hg or DBP≥90 mm Hg; n=243,342)に分類しました。Cox比例ハザードモデルを使用、血圧分類と心不全、心房細動事象の関係を評価しました。また、もしステージ1、ステージ2高血圧を正常血圧に出来た場合に予防可能な心不全、心房細動事象の人口を推計、人口寄与割合(population attributable fractions: PAFs)を算出しました。結果、平均追跡1112日、心不全28056例、心房細動7774例発生しました。多変量調整後、心不全、心房細動のハザード比は血圧正常と比べて、それぞれ、血圧上昇1.10(95% Confidence interval [CI], 1.05-1.15)、1.07(95% CI, 0.99-1.17)、ステージ1高血圧1.30(95% CI, 1.26-1.35)、1.21(95% CI, 1.13-1.29)、ステージ2高血圧2.05(95% CI, 1.97-2.13)、1.52(95% CI, 1.41-1.64)でした。ステージ1、ステージ2高血圧の心不全に対する人口寄与割合はそれぞれ、23.2%(95% CI, 20.3%-26.0%)、51.2%(95% CI, 49.2%-53.1%)でした。ステージ1、ステージ2高血圧の心房細動に対する人口寄与割合はそれぞれ、17.4%(95% CI, 11.5%-22.9%)、34.3%(95% CI, 29.1%-39.2%)でした。ステージ1、ステージ2高血圧は一般人口において心不全、心房細動の発症増加と関連を認めました。2017年アメリカ心臓病学会、アメリカ心臓協会の血圧分類システムは心不全、心房細動事象の高リスク例を特定するのに役立つ可能性があります。
https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.052624
日本のレセプトデータ2196437件を分析した結果、血圧130代、血圧140代の軽度高血圧であっても心不全、心房細動のリスクであることがわかったという報告です。軽度高血圧の患者数は非常に多いので、心不全の51.2%、心房細動の34.3%は軽度高血圧が寄与しているという報告です。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/circ/202105/570222.html
東京大学からもプレスリリースが出ています。
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/participants/research/rinshoukenkyu/seika/20210423.html

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