ロケットニュースの炭水化物制限ダイエットに関する記事に執筆協力しました。

「炭水化物を抜くダイエットって健康面でどうなの? 医師に聞いてみたら…「考えさせられる回答」が返ってきた」→https://rocketnews24.com/2018/05/15/1061896

ロケットニュースの炭水化物制限ダイエットに関する記事に執筆協力しました。今回のテーマは、近年急速に注目を浴びている炭水化物制限ダイエット、糖質制限ダイエットです。ちなみに私個人の意見としては、軽度の検診異常やメタボリック症候群は、運動をして、食事に気を付けて、体重を落とせばある程度の数値異常は改善するので、その一つの方法として適度な糖質制限はいいんじゃないかという考えています。一方で、一人の医師として一般論で答えると、実は炭水化物制限の食事療法には医学的なエビデンスは十分なものではありません。なぜかと言うと、特定の食事療法が健康に良いかどうかを判断するためには、1年や2年ではなく、10年20年という単位で長期的にも問題がないかを検証する必要があるからで、日本で炭水化物制限ダイエットがブームになったのはここ数年のことで、長期間行うことが本当に安全なのかどうかを検証した長期のデータがまだないからです。事実、日本糖尿病学会は、2013年「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言」の中で、 「糖尿病における炭水化物摂取について 肥満の是正は、糖尿病の予防ならびに治療において重要な意義を有する。体重の適正化を図るためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の制限を最優先とする。 総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない。」という立場を取っています。長期のデータがないことが理由です。また一方で、「社会的なコンセンサスを得る上においても、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題である」と日本糖尿病学会は記載しており、今後の重要な研究テーマであるとちゃんとコメントしています。その後の日本糖尿病学会としての公式見解が出ていないようなので気になるところではあります。

当院としては、患者さんが「糖質制限を始めようと思うんですが」と聞かれたら、「自分の食生活を改善しよう、暴飲暴食を改めよう」という意識の現れとして捉え、行動変容しようという気持ちは良いことなので、まずは現在の食事習慣、運動習慣、生活習慣を把握し、どこから改善出来るか、一緒に考えるようにしています。一応注意喚起としては、極端な糖質制限の結果、脂質摂取が過剰になり脂質異常症を発症してしまったり、塩分摂取が過剰になり高血圧症を発症してしまったり、極端にやり過ぎたストレスで続かずにリバウンドしてしまい、糖質制限ダイエット開始前よりも血糖状態が悪化してしまった糖尿病患者さんなど、経験しています。ちなみについ最近、院長の五十嵐も糖質制限をしようと思い立って焼き鳥ばかり食べていた時期があったのですが、塩分を摂り過ぎで、段々と血圧が上がって来てしまったので、ビックリして辞めました。焼き鳥生活を辞めたら、血圧が正常に戻り、焼き鳥の塩分の多さを身を持って痛感しました。健康のために始めたつもりが、脂質異常症や高血圧症を発症してしまっては本末転倒なので、害がないようにバランスよく、続けられるようにほどほどで、やっていくことが大事だなあとつくづく感じています。わかっていながらなかなか続けられないのが食事療法の難しいところですね。一緒に頑張りましょう。

また何かまたロケットニュースの記事が出ましたらお知らせします。


【院長挨拶】

医療法人社団お茶会お茶の水循環器内科院長の五十嵐健祐と申します。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、医療法人化に伴い、循環器専門の医療機関として生まれ変わりました。我々の使命は「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」です。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、防ぐためには血管を守ることが重要です。血管を守るためには、具体的に、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続が大切です。一方で、現代人の生活スタイルとして、平日の日中に仕事や用事があることは普通のことであり、仕事をしながらの治療継続には大きな負担が伴います。我々はこのミスマッチを解決するために、夜間も土日も診療をオープンにし、心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を行っています。しかしながら残念なことに、土日や夜間に診療をしていると、我々の理念とは無関係に、ただ夜も空いているから、ただ土日もやっているから、ただ便利だからという理由だけで患者さんが殺到し過ぎてしまい、2018年冬、一時期は診療体制の維持が困難な事態に陥ってしまいました。

ミッション→https://ochanomizunaika.com/mission

2018年春、ゼロベースで、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもとに全ての診療体制の見直しを行いました。結果、循環器専門という選択と集中の意思決定に至り、2018年春に医療法人化に伴い、「お茶の水循環器内科」として生まれ変わりました。今後とも夜間も土日も診療をオープンにし、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動、慢性腎臓病等の心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続を実現していくことで、心筋梗塞と脳卒中を防ぎ、「世の中から救えるはずの病気をなくすこと」、これが我々の使命です。詳しくは上記ページに医療法人社団お茶会のミッションをまとめましたのでご覧ください。新しく生まれ変わったお茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。

2018年4月1日、医療法人社団お茶会理事長五十嵐健祐

【具体的な診療範囲】

当院は循環器専門の医療機関です。循環器とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、抗血小板療法、抗凝固療法、心房細動を始めとする不整脈、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病、慢性心不全などの循環器疾患です。循環器の診療範囲を具体的にまとめました。

・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)

・心筋梗塞後、ステント留置後の管理、抗血小板療法

・慢性心不全の管理

・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)

・人工弁置換術後の管理、抗凝固療法

・心筋症(拡張型心筋症、肥大型心筋症、他)

・不整脈(上室期外収縮、心室期外収縮、房室ブロック、心房細動、他)

・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防

・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理、二次予防、再発予防

・高血圧症、二次性高血圧症

・脂質異常症、家族性高コレステロール血症

・糖尿病、糖尿病合併症の管理

・慢性腎臓病

・睡眠時無呼吸症候群

・その他、健診の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など

以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器です。脳梗塞や脳出血等の脳血管障害、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科が診ることも多いですが、どちらも血管の故障の予防という意味では一次予防、二次予防としてやるべきことは循環器と共通です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も循環器病のリスク因子という点で循環器の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器の仕事です。

【当院で対応していないもの】(2018/4/1更新)

2018/4/1以降、当院で対応していないものを具体的にまとめました。定期的に見直しを行っていますので、ご来院の前には必ずご確認ください。ご来院いただいても受付にて適切な診療科のご紹介の対応となることを予めご了承ください。下記に具体的にまとめましたので、診療科探しの際にご参考ください。

・風邪、インフルエンザ等→一般内科

・咳、痰等→呼吸器内科

・吐気、下痢、腹痛等→消化器内科

・花粉症、アレルギー等→耳鼻咽喉科、アレルギー科

・不眠、不安等→心療内科等

東京都の医療機関探しは、東京都医療機関案内ひまわり(☎ 03-5272-0303)をご活用ください。幸い、首都圏には夜間や土日も診療しているクリニックは当院以外にも最近少しづつ増えて来ています。随時紹介状の発行も行っていますのでお気軽にご相談ください。ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。

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