「循環器内科.com」に「期外収縮の診療の進め方」についてまとめました。
【期外収縮の診療の進め方】
期外収縮は健診で指摘されることの一番多い心電図所見です。期外収縮には心室期外収縮と上室期外収縮がありますが、診療の進め方に大きな差はありません。健診等によって心室期外収縮または上室期外収縮を指摘された場合、まず第一に、ホルター心電図、採血、画像検査等によって基礎心疾患の有無を評価します。次に、自覚症状の有無によって上記の3つに分類が出来ます。具体的には、
1、基礎心疾患を認める場合、自覚症状の有無に関わらず、基礎心疾患に対する治療を行います。
2、基礎心疾患を認めない場合、原則的に治療の必要はありませんが、例外的に、自覚症状によって著しい生活の質の低下を認める場合、抗不整脈薬、カテーテルアブレーション等の治療の選択肢があります。
3、基礎心疾患を認めないで、かつ、自覚症状もない場合、特に治療は必要ありません。
以上のように基礎心疾患の有無によって大きく治療方針が異なることがわかります。
【基礎心疾患とは】
基礎心疾患とは、自覚症状や心電図所見の背景にある様々な心疾患のことです。自覚症状をきっかけに受診して精査の結果見付かることもありますし、何の自覚症状ない場合でも健診をきっかけに精査の結果、何らかの基礎心疾患が見付かる場合もあります。基礎心疾患は多岐に渡ります。具体的には、
・治療が必要な不整脈(発作性心房細動、持続性心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、新規3枝ブロック、洞不全症候群、Mobitz II型II度房室ブロック、III度房室ブロック、心室頻拍、心室細動、他)
・治療が必要ない不整脈(心室期外収縮、上室期外収縮、洞性頻脈、洞性徐脈、他)
・不整脈以外の心疾患(心不全、狭心症、心筋梗塞、心筋症、弁膜症、心筋炎、他)
・心疾患以外の疾患(二次性高血圧症、甲状腺機能異常、副腎機能、貧血、低血圧症、自己免疫疾患、他)
・その他(カフェイン、煙草、アルコール、睡眠不足、疲労、不安神経症、過換気症候群、パニック障害、他)
【基礎心疾患の精査】
基礎心疾患の有無と一口に言っても精査の対象となる疾患は多岐に渡り、完全な意味で基礎心疾患なしを証明するのは難しい面もありますが、お茶の水循環器内科では、以下のように重点的に診療を進めて行きます。
1、ホルター心電図:期外収縮以外に治療が必要な不整脈があるかないかの精査除外
2、採血:基礎心疾患として心不全の有無の評価、甲状腺機能や貧血等の脈に影響を及ぼす採血項目の評価
3、心エコーまたは心臓MRI:必要に応じて基礎心疾患として弁膜症、心筋症の有無の評価
4、冠動脈CT:冠危険因子を複数認める場合には冠動脈の評価
1と2はほとんどの場合に必要で、3と4はリスク因子や家族歴等に応じて必要性を相談というイメージです。詳しくは日本心臓財団のページをご覧ください。
→https://www.jhf.or.jp/q&adb/category/c1/
【まとめ】
以上まとめると、期外収縮の診療においては、基礎心疾患の有無の精査が大きなポイントであること、基礎心疾患を認める場合、自覚症状の有無に関わらず、基礎心疾患に対する治療を行うこと、基礎心疾患を認めない場合、原則的に治療の必要ないこと、ただし、例外的に、自覚症状によって著しい生活の質の低下を認める場合、抗不整脈薬、カテーテルアブレーション等の治療の選択肢があること、基礎心疾患を認めないで、かつ、自覚症状もない場合、特に治療は必要ないこと、が重要です。詳しくは主治医までご相談ください。
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