お茶の水循環器内科では心不全のマーカーとして「NT-proBNP」にて評価していく方針としました。心疾患のマーカーとして「BNP」と「NT-proBNP」があります。どちらも臨床的意義は同等で、「NT-proBNP」のほうが採血管が一本少なくて済むことということで、お茶の水循環器内科では今後、心不全のマーカーとして「NT-proBNP」にて評価していく方針としました。今までずっと「BNP」で評価をしていた方は、基準値が変わるため換算が必要になるくらいで、それ以外に全くデメリットはありません。
NT-proBNPは一言で言うと、「心臓の負担」の程度をみる血液検査です。NT-proBNPとは、心臓から分泌されるホルモンBNPの量を反映し、心臓への負担が大きいほど多く分泌されます。NT-proBNPが高い数値の場合は、心臓に何らかの負担が掛かっているということがわかります。NT-proBNPの値だけで診断をすることは出来ませんが、目安としてNT-proBNP 125未満の場合は心疾患は否定的であること、NT-proBNP 900以上であれば何らかの心疾患の存在が疑われます。NT-proBNP 125から900の場合に関しては心疾患が見付かることもあればそうでないこともあります。心臓の負担とは、より厳密に言うと、壁応力、伸展ストレスに応じて分泌されます。心不全以外でも、重度の高血圧症、心房細動等の不整脈でも軽度上昇します。腎機能低下の場合でも軽度高値となります。NT-proBNPの値だけでなく、心電図、胸部レントゲン、心エコー、心臓MRI、冠動脈CT等、総合的に評価していきます。既に心不全と診断されている場合は、心不全のフォローのために定期的にチェックします。NT-proBNPはとても有用な検査なのですが、一般の健康診断の採血検査では取らない項目で、循環器内科で追加で採血が必要な理由の一つです。
少しマニアックな説明ですが、108個のアミノ酸からなる前駆体proBNPから、32個のアミノ酸からなる活性体BNPと、76個のアミノ酸からなる非活性体NT-proBNPが等しいモル数だけ生成され、質量比の違いの分だけ、pg/dlの基準値が変わるということで、臨床的意義は全く同等ということがわかります。詳しくは日本心不全学会のホームページをご覧ください。
→http://www.asas.or.jp/jhfs/topics/bnp201300403.html
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