2019/11/22(金)、無症候性の高齢者における冠動脈CTの長期予測能について検討した研究「Long‐Term Prognostic Value of Coronary Computed Tomography Angiography in an Asymptomatic Elderly Population」の結果をまとめました。韓国の地域コホート研究「Korean Longitudinal Study on Health and Aging: KLoSHA」に登録された冠動脈CT(coronary computed tomographic angiography: CCTA)を受けた470例(平均年齢75.1±7.3歳)を対象に、冠動脈CTの結果から、冠動脈疾患の狭窄の有無と程度について、冠動脈に狭窄を認めなかったものを正常群、50%未満狭窄群、50%以上狭窄群に分類、中央値8.2年間追跡しました。結果、24例(5.1%)に主要有害心血管イベント(死亡または非致死性心筋梗塞)が発生、解析の結果、50%以上の冠動脈狭窄あり群は冠動脈狭窄なし群と比較して有意に高いリスク(HR 5.65 95%CI 1.22–26.16 P=0.027)を認めました。一方で、冠動脈狭窄なし群と50%未満の冠動脈狭窄を認める群では有意差はありませんでした。8年間のイベント回避生存率は、正常群±1.1%、50%未満狭窄群94.9±1.6%、50%以上狭窄群81.7±4.8%でした。リスク予測能について、冠動脈CTは、フラミンガムリスクスコア、冠動脈石灰化スコアモデルと比較して、C-index(from 0.698 to 0.749)、category-free net reclassification index(0.478 P=0.022)を向上させました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.119.013523
無症候であっても冠動脈CTにて軽度狭窄、中程度狭窄を認める例は少なくありません。お茶の水循環器内科では、冠動脈疾患を疑う明らかな臨床症状や冠動脈疾患の既往歴がある場合は勿論のこと、そうでない場合においても高血圧、脂質異常症、糖尿病、現在または過去の喫煙歴、大量飲酒歴、冠動脈疾患の家族歴等の冠危険因子を複数認める場合には積極的に冠動脈CTの適応を考慮しています。無症候性の有意狭窄が見付かる場合も少なくないのと、軽度狭窄、中程度狭窄だとしても早期のうちに発見し、生活習慣改善、冠危険因子をコントロールすれば良いのです。詳しくは主治医までお気軽にご相談ください。
2019/11/22(金)、無症候性の高齢者における冠動脈CTの長期予測能について検討した研究「Long‐Term Prognostic Value of Coronary Computed Tomography Angiography in an Asymptomatic Elderly Population」の結果をまとめました。