2020/1/21(火)、発作性心房細動と高血圧を合併した例に対してカテーテルアブレーションに加えて腎デナベーションを行う群とカテーテルアブレーション単独群における心房細動再発を比較した研究「Effect of Renal Denervation and Catheter Ablation vs Catheter Ablation Alone on Atrial Fibrillation Recurrence Among Patients With Paroxysmal Atrial Fibrillation and Hypertension: The ERADICATE-AF Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。

2020/1/21(火)、発作性心房細動と高血圧を合併した例に対してカテーテルアブレーションに加えて腎デナベーションを行う群とカテーテルアブレーション単独群における心房細動再発を比較した研究「Effect of Renal Denervation and Catheter Ablation vs Catheter Ablation Alone on Atrial Fibrillation Recurrence Among Patients With Paroxysmal Atrial Fibrillation and Hypertension: The ERADICATE-AF Randomized Clinical Trial」の結果をまとめました。腎デナベーション(Renal denervation: RDN)は心臓の交感神経活動を抑制することで、心房細動に対して抗不整脈作用があるかも知れないという仮説を調べるために、ERADICATE-AF(The Evaluate Renal Denervation in Addition to Catheter Ablation to Eliminate Atrial Fibrillation)trialを実施しました。2013年から2018年、ロシア、ポーランド、ドイツの多施設共同試験で、高血圧と心房細動を持つ302例を対象に、肺動脈隔離術単独群148例、肺動脈隔離術+腎デナベーション追加群154例に分け、一次エンドポイントとして12ヶ月後の心房細動、心房粗動、心房頻拍のないこと、二次エンドポイントとして30日以内の合併症、6ヶ月後と12ヶ月後の血圧コントロールとしました。結果、全ての手技は成功、283例が追跡完了しました。一次エンドポイントは、肺動脈隔離術単独群84例(56.5%)、腎デナベーション追加群111例(72.1%)で有意差(HR 0.57 95%CI 0.38 to 0.85 P=0.006)を認めました。二次エンドポイントは、血圧は有意に低下(群間差 −13 mm Hg 95%CI −15 to −11 mm Hg P <0.001)を認めました。合併症の発生率は差が(4.5% vs 4.7%)ありませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/275900
腎デナベーションとは、腎除神経とも呼ばれ、腎臓と中枢神経をつなぐ腎動脈周囲の交感神経をカーテルアブレーション手技によって意図的に一部焼却することによって、血圧上昇に関わる交感神経の働きを遮断し、降圧を試みる治療法です。交感神経は血圧だけでなく、心臓の脈拍の調整にも関わっていることから、抗不整脈作用もあるんじゃないかという仮説があり、やや懐疑的な印象でしたが、今回の研究の結果、本当に効果がありそうであることがわかりました。似たような研究で、「AFFORD study」という先行研究があります。また時間を見付けてまとめます。
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00392-018-1391-3

PAGETOP