2020/2/19(水)、糖尿病治療薬アドヒアランスのモバイルサポートツールと血糖管理の関係を調べた研究「Association of Mobile Patient Portal Access With Diabetes Medication Adherence and Glycemic Levels Among Adults With Diabetes」の結果をまとめました。オンラインによる糖尿病のセルフマネジメントサポートやモバイルデバイスが糖尿病のアウトカムを改善するかを調べるために、2015年から2017年までカルフォルニアのヘルスケアシステム「Kaiser Permanente Northern California」にて、成人の糖尿病で、経口血糖降下薬の処方あり、インスリンを使用していない11万1363例を対象に、サポートなし群、PCサポートあり群、モバイルサポートあり群、PCモバイル両方のサポートあり群の4つのグループに分けて追跡しました。アウトカム指標として、服薬アドヒアランスは内服カバー日率(percentage of days covered: PDC)にて、血糖管理レベルはHbA1cによって評価しました。PCとモバイルデバイスサポートの利用者は、2015年には38371名(34.42%)でしたが、2017年に57920名(61.71%)に増加していました。結果、サポートなし群と比較して、PCサポートあり群で、アドヒアランスが1.16%向上(95%CI 0.63 to 1.70)、HbA1c 0.06%低下(95%CI −0.08 to −0.03)、PCモバイル両方のサポートあり群でアドヒアランス1.67%向上(95%CI 1.10 to 2.23)、HbA1c 0.13%低下(95%CI −0.16 to −0.10)を認めました。もともとのHbA1c 8.0%以上の群では、アドヒアランス5.09%向上(95%CI 3.78 to 6.40)、HbA1c 0.19%低下(95%CI −0.27 to −0.15)を認めました。PCとモバイルを組み合わせた服薬アドヒアランスのサポートは、糖尿病治療におけるアドヒアランスを有意に向上させ、血糖コントロールが悪い群にて血糖管理を改善させました。モバイルデバイスを通じたセルフマネジメントツールは糖尿病管理を改善させる可能性があると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
→https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2761257
服薬アドヒアランス(percentage of days covered: PDC)の変化率、HbA1cの変化率は、数値だけで見ると大したことはありませんが、血糖を改善させる新しいアプローチとしてモバイルツールの有用性があるという報告は新鮮です。アメリカのカルフォルニアでは、2017年時点で60%以上の糖尿病患者がモバイルツールを使っているという報告も驚きました。血糖が改善するのであれば、アプリケーションやデジタルの行動変容ツールも広い意味で「薬」として捉えて、活用していこうというのが「デジタルメディスン」や「デジタルヘルス」の考え方です。
2020/2/19(水)、糖尿病治療薬アドヒアランスのモバイルサポートツールと血糖管理の関係を調べた研究「Association of Mobile Patient Portal Access With Diabetes Medication Adherence and Glycemic Levels Among Adults With Diabetes」の結果をまとめました。