2020/1/13(月)、急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術後の主要有害心血管事象をチカグレロルとクロピドグレルを比較した研究「Association of Ticagrelor vs Clopidogrel With Major Adverse Coronary Events in Patients With Acute Coronary Syndrome Undergoing Percutaneous Coronary Intervention」の結果をまとめました。チカグレロルがクロピドグレルと比べて主要有害心血管事象を減らしたという臨床試験データに基づいて、急性冠症候群(acute coronary syndrome: ACS)に対して、チカグレロルをクロピドグレルよりも推奨していますが、出血と呼吸困難が増加しました。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術後、チカグレロル、クロピドグレルによる主要有害心血管事象のリスク、大出血と呼吸困難、P2Y12阻害薬のアドヒアランスと主要有害心血管事象の関係を調べるために、2012年から2016年まで、急性冠症候群に対して経皮的冠動脈形成術後に生存退院例の登録研究「Alberta Provincial Project for Outcome Assessment in Coronary Heart Disease registry」の1年間追跡したコホート研究を実施しました。経皮的冠動脈形成術から31日以内に、チカグレロルかクロピドグレルが外来で処方、アドヒアランスは内服薬のリフィルアドヒアランス値が80%かそれ以上と定義しました。主要有害心血管事象は、経皮的冠動脈形成術後365日以内の全死亡、急性冠症候群による入院、計画外の冠動脈血行再建、ステント血栓症の複合、二次転帰は、大出血による入院、呼吸困難による救急部の受診としました。結果、経皮的冠動脈形成術11185例、平均年齢61歳、女性24.7%でした。チカグレロルの処方は4076例(36.4%)で、クロピドグレルの処方に比べて、全体的に若く、心臓または非心臓の併存疾患が少ない傾向にありました。チカグレロルは主要有害心血管事象のリスク低下(aHR 0.97 95%CI 0.85-1.10)と関係を認めませんでしたが、大出血(aHR 1.51 95%CI 1.29-1.78)、呼吸困難(aHR 1.98 95%CI 1.47-2.65)のリスク上昇と関係を認めました。チカグレロルの処方のうち3328例(81.6%)、クロピドグレルの処方のうち5256例(73.9%)はアドヒアランスにおいて有意差(P<0.001 χ2 = 86.4)を認めました。コホート全体では、アドヒアランスについて、アドヒアランス80%以上の群は、80%未満の群と比べて、主要有害心血管事象のリスク低下(aHR 0.79 95%CI 0.69-0.90)を認めました。他の二次転帰の差は有意ではありませんでした。感度解析、サブグループ解析においても一次解析の結果と一貫していました。急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術後のコホート研究の結果、チカグレロルはクロピドグレルと比べて主要有害心血管事象の減少と有意な関係を認めませんでしたが、大出血、呼吸困難の増加と関連を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
→https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2758798
チカグレロル(ブリリンタ)とクロピドグレル(プラビックス)の比較したところ、主要有害心血管事象には差がなく、チカグレロルで出血と呼吸困難が多かっったという報告です。チカグレロルの適応は、日本では経皮的冠動脈形成術後の抗血小板療法はバイアスピリン、プラスグレルが使えない場合に考慮となっています。
2020/1/13(月)、急性冠症候群で経皮的冠動脈形成術後の主要有害心血管事象をチカグレロルとクロピドグレルを比較した研究「Association of Ticagrelor vs Clopidogrel With Major Adverse Coronary Events in Patients With Acute Coronary Syndrome Undergoing Percutaneous Coronary Intervention」の結果をまとめました。