2020/8/24、降圧薬とうつ病のリスクについて調べた研究「Antihypertensive Drugs and Risk of Depression: A Nationwide Population-Based Study」の要旨をまとめました。高血圧、心血管疾患、脳血管疾患はうつ病のリスク上昇と関連していますが、降圧薬による治療がリスクを増やすのか減らすのかは十分にわかっていませんでした。各薬剤の影響もよくわかっていませんでした。デンマークにて集団研究、41種類の使用頻度の高い降圧薬とうつ病へのリスクを系統的に評価しました。利尿薬を解析の比較対象としました。2005年から2015年まで登録、評価項目として、精神科病院の入院または外来におけるうつ病(depressive disorder)の診断、うつ病の診断と抗うつ薬の使用の複合としました。結果、降圧薬クラスとして、アンギオテンシン関連薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬の使用はうつ病の発生率の減少と有意な関連を認めました。利尿薬はそうではありませんでした。うつ病の減少と関連の認められた個別の薬剤は、アンギオテンシン関連薬16種類のうち2種類、エナラプリル、ラミプリル、カルシウム拮抗薬10種類のうち3種類、アムロジピン、ベラパミル、ベラパミル配合薬、β遮断薬15種類のうち4種類、プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロールでした。うつ病のリスク上昇と関連する薬剤は一つもありませんでした。結論、リアルライフ集団データから、9種類の降圧薬の使用は良好な影響がある可能性が示唆されました。うつ病の既往、不安症、うつ病の家族歴も含めて、うつ病の悪化リスクがある例の処方においてガイドとなるエビデンスとなるでしょう。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32829669
降圧薬とうつ病リスクとの関係を調べたデンマークの研究です。全国登録データ374万7190例を解析した結果、うつ病のリスク上昇と関連する降圧薬は一つもなく、エナラプリル(レニベース)、ラミプリル(日本未承認)、アムロジピン(アムロジン)、ベラパミル(ワソラン)、プロプラノロール(インデラル)、アテノロール(テノーミン)、ビソプロロール(メインテート)、カルベジロール(アーチスト)はうつ病リスクの減少と有意に関連していたとの報告です。β遮断薬はうつ病の既往がある例には注意と習いましたが、心配しなくて大丈夫なようです。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/0904531504
2020/8/24、降圧薬とうつ病のリスクについて調べた研究「Antihypertensive Drugs and Risk of Depression: A Nationwide Population-Based Study」の要旨をまとめました。