2020/8/18、非弁膜症性心房細動で初期は低リスクでリスク因子が進行した場合の抗凝固療法について調べた研究「Anticoagulant Therapy in Initially Low-Risk Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation Who Develop Risk Factors」の要旨をまとめました。

2020/8/18、非弁膜症性心房細動で初期は低リスクでリスク因子が進行した場合の抗凝固療法について調べた研究「Anticoagulant Therapy in Initially Low-Risk Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation Who Develop Risk Factors」の要旨をまとめました。「CHA2DS2-VASc」スコアは、心房細動の脳卒中リスク予測因子として検証されています。抗凝固療法は、CHA2DS2-VAScスコア0点の男性、1点の女性、心房細動の低リスク群においては推奨はされていません。心房細動で、当初は低リスクであったものの、その後、基礎疾患の発生、経口抗凝固療法の適応についてコホート研究を実施しました。CHA2DS2-VAScスコア0点の男性、1点の女性、低リスク群14441例を対象に、「Korean National Health Insurance Service database」にて、脳卒中危険因子の発生と有害転帰を調べました。臨床評価項目は、虚血性脳卒中、大出血、全死亡の発生、または複合転帰(虚血性脳卒中、大出血、全死亡)としました。コホート研究、男性2615例(29.1%)、女性1650例(30.3%)は、中央値2.0年間の追跡期間の間に、少なくとも1項目以上の新規の脳卒中危険因子を認めました。CHA2DS2-VAScスコア1点以上増加した群において、男女とも経口抗凝固薬を治療開始した群では、経口抗凝固薬を開始しなかった群と比べて、虚血性脳卒中(male: hazard ratio [HR], 0.62 [95% CI, 0.44-0.82; P=0.003]; female: HR, 0.65 [95% CI, 0.47-0.84; P=0.007])、全死亡(male: HR, 0.67 [95% CI, 0.49-0.88; P=0.009]; female: HR, 0.82 [95% CI, 0.63-1.02; P=0.185])、複合転帰(male: HR, 0.78 [95% CI, 0.61-0.95; P=0.042]; female: HR, 0.79 [95% CI, 0.62-0.96; P=0.045])の有意な減少を認めました。2年間の追跡期間で、約30%が1項目以上の脳卒中危険因子を認めました。心房細動で低リスク群であって、脳卒中危険因子の特定、脳卒中、複合転帰予防、血栓症予防の観点から定期的に再評価を行うべきであると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32779499
心房細動で抗凝固療法を導入しないと判断した後も定期的に脳卒中リスク評価が重要であるという論文です。抗凝固療法を導入しないと一度決めた後も、抗凝固療法が必要になる場合は、2年間で29.1%-30.3%と少なくなく、適切な抗凝固療法の適応することで、脳梗塞35%-38%、全死亡18%-33%減少を認めたとの報告です。「CHA2DS2-VASc」スコアとは、心不全、高血圧、75歳以上(2点)、糖尿病、脳卒中の既往(2点)、血管疾患、65歳以上74歳以下(1点)、女性、です。年齢は毎年変化しますし、高血圧、糖尿病の新規発症あたりもしばしば経験します。一度判断した抗凝固療法の適応も適宜見直していくことが重要ということがわかります。詳しくは主治医とご相談ください。


PAGETOP