2020/10/6、インターロイキン1β阻害薬と動脈硬化性心血管事象の減少について調べた研究「Inhibition of Interleukin-1β and Reduction in Atherothrombotic Cardiovascular Events in the CANTOS Trial」の要旨をまとめました。

2020/10/6、インターロイキン1β阻害薬と動脈硬化性心血管事象の減少について調べた研究「Inhibition of Interleukin-1β and Reduction in Atherothrombotic Cardiovascular Events in the CANTOS Trial」の要旨をまとめました。インターロイキン-1β(interleukin-1β: IL-1β)阻害薬「canakinumab」による炎症抑制は、心筋梗塞の既往、炎症リスク(高感度CRP 2mg/l以上)の高い群においてさえも、一次主要有害心血管事象を有意に抑制しました。しかしながら、canakinumabの心血管事象数に与える総合的な効果に関しては、一次事象の発生後、再発も含めて、十分にわかっていませんでした。canakinumabが重大心血管事象の総負荷をへらすかどうか調べるために、10061例、プラセボ群、canakinumab群、1日50mg、150mg、300mg、3ヶ月、全重大心血管事象の複合(心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建、心血管死亡)の発生率を、実薬とプラセボで比較しました。負の二項回帰を用いて相関関係、推算発生率、95%信頼区間を評価しました。結果、中央値3.7年間の追跡、総重大心血管事象3417件発生、10061例のうち2003例でした。canakinumabは総重大心血管事象を減少、100人年あたり発生率は、プラセボ群10.4、canakinumab 50mg群8.4、canakinumab 150mg群8.3、canakinumab 300mg群8.2でした。対応する発生率、95%信頼区間は、canakinumab 50mg群0.80(0.69 to 0.93)、canakinumab 150mg群0.79(0.68 to 0.92)、canakinumab 300mg群0.78(0.67 to 0.91)でした。canakinumabによる抗炎症療法は、心筋梗塞の既往、炎症性リスクの証拠がある例において、心血管事象の総数を有意に抑制しました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33004131
開発中のインターロイキン1β阻害薬「canakinumab」の成績です。動脈硬化にインターロイキンが関係していることを裏付ける報告です。治療薬としては、投与方法、費用対効果が課題になりそうです。


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