2020/10/7、2型糖尿病に対するSGLT2阻害薬と、心血管、腎転帰との関係に関するメタ解析「Association of SGLT2 Inhibitors With Cardiovascular and Kidney Outcomes in Patients With Type 2 Diabetes: A Meta-analysis」の要旨をまとめました。

2020/10/7、2型糖尿病に対するSGLT2阻害薬と、心血管、腎転帰との関係に関するメタ解析「Association of SGLT2 Inhibitors With Cardiovascular and Kidney Outcomes in Patients With Type 2 Diabetes: A Meta-analysis」の要旨をまとめました。SGLT2阻害薬(Sodium-glucose cotransporter 2 inhibitors)は心血管、腎臓転帰に良好な影響を与えます。しかしながら、クラスを超えて転帰は一貫しているのかどうかは十分にわかっていませんでした。2型糖尿病に対して、入手可能なSGLT2阻害薬4種類の心血管、腎転帰を評価するためにメタ解析を実施しました。2015年から2020年まで、PubMedにて系統文献検索を実施、145件の文献を同定、137件は試験デザイン、関心主題のため除外されました。結果として、2型糖尿病、SGLT2阻害薬、心血管、腎転帰、全6件の無作為化プラセボ対照試験、9記事のデータを収集しました。全解析は試験の全集団に対して実施しました。「PRISMA」(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analysis)ステートメントに従って、標準化データ検索、要約を実施しました。fixed-effectモデルを用いてデータ解析を実施しました。転帰は、主要有害心血管事象の複合(心筋梗塞、脳卒中、心血管死亡)及び各要素、心不全入院、心血管死亡の複合及び各要素、腎複合転帰の初回事象までの時間としました。全4試験の転帰、集団、選択サブグループにおいて、ハザード比、95%信頼区間を蓄積、メタ解析を実施しました。結果、6試験、2型糖尿病46969例、動脈硬化性心血管疾患31116例(66.2%)のデータ、全試験参加者の平均年齢63.7歳、男性30939例(65.9%)、白人36849例(78.5%)でした。各試験の参加人数の中央値は8246例(4401-17160例)でした。全体として、SGLT2阻害薬は主要有害心血管事象(HR, 0.90; 95% CI, 0.85-0.95; Q statistic, P = .27)、心不全入院、心血管死亡(HR, 0.78; 95% CI, 0.73-0.84; Q statistic, P = .09)、腎転帰(HR, 0.62; 95% CI, 0.56-0.70; Q statistic, P = .09)のリスク減少と関連を認め、転帰との関係に有意な異質性を認めませんでした。心不全入院リスク減少の関係は試験を超えて一貫(HR, 0.68; 95% CI, 0.61-0.76; I2 = 0.0%)していましたが、心血管死亡に関しては転帰との関係に異質性(HR, 0.85; 95% CI, 0.78-0.93; Q statistic, P = .02; I2 = 64.3%)を認めました。動脈硬化性心血管疾患の既往の有無は、主要有害心血管事象の転帰との関係に影響(HR, 0.89; 95% CI, 0.84-0.95 and HR, 0.94; 95% CI, 0.83-1.07, respectively; P = .63 for interaction)を与えませんでしたが、動脈硬化性心血管疾患の既往は転帰に影響を与えないことは、心不全入院、心血管死亡(P = .62 for interaction)、心不全入院(P = .26 for interaction)、腎転帰(P = .73 for interaction)において同様でした。本メタ解析の結果、SGLT2阻害薬は主要有害心血管事象のリスク減少と関連を認め、さらに、心血管死亡においては有意な異質性を示唆しました。クラスを超えた最大のベネフィットは、心不全入院、腎転帰リスク減少と関連を認め、心不全入院リスクに対するベネフィットは試験を超えて一貫して認められました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33031522
SGLT2阻害薬4種類、6試験
・「EMPA-REG OUTCOME」(エンパグリフロジン)
・「DECLARE-TIMI 58」(ダパグリフロジン)
・「CANVAS」「CANVAS-R」「CREDENCE」(カナグリフロジン)
・「VERTIS CV」(ertuglifrozin、日本未承認)
のメタ解析です。「EMPEROR-Reduced」(エンパグリフロジン)、「DAPA-HF」「DAPA-CKD」(ダパグリフロジン)は今回のメタ解析に含まれていません。SGLT2阻害薬4種類に共通して、心不全入院リスク減少が一貫していたとの報告です。心血管疾患リスク減少に対してはエンパグリフロジンの関連が最も強かったとの結果です。SGLT2阻害薬は日本では7種類承認されていますが、エンパグリフロジン(ジャディアンス)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、カナグリフロジン(カナグル)の3つ、強いて言えば前者2つのSGLT2阻害薬のエビデンスが飛び抜けて来た印象です。メディカルトリビューンでも記事になっていました。
https://medical-tribune.co.jp/news/2020/1022533052


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