2020/9/28、臨床家の心電図読影の正確性について調べた系統レビュー、メタ解析「Accuracy of Physicians’ Electrocardiogram Interpretations: A Systematic Review and Meta-analysis」の要旨をまとめました。

2020/9/28、臨床家の心電図読影の正確性について調べた系統レビュー、メタ解析「Accuracy of Physicians’ Electrocardiogram Interpretations: A Systematic Review and Meta-analysis」の要旨をまとめました。心電図は心血管診断の検査として最も一般的なものです。心電図読影における臨床家のスキルは十分にわかっていませんでした。臨床家の心電図読影の正確性について、公開された研究を特定、要約するために、PubMed、MEDLINE、Embase、Cochrane CENTRAL(Central Register of Controlled Trials)、PsycINFO、CINAHL(Cumulative Index to Nursing and Allied Health)、ERIC(Education Resources Information Center)、Web of Scienceにて、2020/1/21までのデータベースから公開論文を収集しました。1138記事を一次特定、試験環境にて臨床家または医学生の心電図読影の正確性を評価した78研究を選択しました。研究目的、参加者、特徴評価、転帰のデータを要約、「Medical Education Research Study Quality Instrument」にて方法論的質を評価しました。結果は無作為化影響メタ解析を用いて蓄積、心電図読影の正確性を転帰としました。結果、1138研究のうち、78研究が心電図読影の正確性を評価していました。全訓練値を通して、訓練前評価の正確性の中央値は54%(四分位範囲 40%-66%; n = 62 studies)、訓練後評価67%(四分位範囲 55%-77%; n = 47 studies)でした。正確性は研究によって広くばらつきがありました。訓練前評価の蓄積正確性は、医学生(medical students)42.0%(95% CI, 34.3%-49.6%; n = 24 studies; I2 = 99%)、研修医(residents)55.8%(95% CI, 48.1%-63.6%; n = 37 studies; I2 = 96%)、臨床医(practicing physicians)68.5%(95% CI, 57.6%-79.5%; n = 10 studies; I2 = 86%)、循環器内科医(cardiologists)74.9%(95% CI, 63.2%-86.7%; n = 8 studies; I2 = 22)でした。全ての訓練レベルにおいて臨床家の心電図読影の正確性は不十分で、教育介入後においても不十分でした。生涯における教育の改善が急務であることが明らかになりました。転帰のばらつきの広さは、評価デザインの差またはスキル、訓練の現実の差を反映していると考えられます。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32986084
臨床家の心電図読影の正確性について、系統レビュー、メタ解析の結果、
医学生(medical students)42.0%、研修医(residents)55.8%、臨床医(practicing physicians)68.5%、循環器内科医(cardiologists)74.9%だったという報告です。衝撃的なのは、循環器内科医(cardiologists)でさえも74.9%であったという結果です。一口に心電図読影と言っても、心房細動や心房粗動等の調律異常で読影を間違えることはほとんどないかと思いますが、軽微で判断に迷う程度のST-T異常、Q波異常は日常的に大いにあります。脚ブロックがあると心電図だけで判断は困難なこともあります。ほとんどの発作性の不整脈に至っては非発作性の心電図は正常です。その場合は、心電図検査のみで判断を下すことを避けて、冠動脈CT、心臓MRI、エコー、ホルター心電図検査、電気生理学的検査等、他の手段を組み合わせながら総合診断をしていけば良いのです。心電図検査自体を過信しないことが大切ではないかと心構えを持つこと大切ではないでしょうか。勿論、中には心電図検査のみで一発診断可能な不整脈もありますが、人間の眼で見て即座に診断可能な心電図異常は人工知能によっても基本的に同じように診断が可能です。個人的な考えとしては、心電図読影は人工知能読影に遅かれ早かれ取って代わっていくのではないかと考えています。また面白い論文があれば紹介します。


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