2020/10/20、駆出率の保たれた心不全におけるpraliciguatの酸素消費ピーク率に対する効果を調べた研究「Effect of Praliciguat on Peak Rate of Oxygen Consumption in Patients With Heart Failure With Preserved Ejection Fraction: The CAPACITY HFpEF Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。

2020/10/20、駆出率の保たれた心不全におけるpraliciguatの酸素消費ピーク率に対する効果を調べた研究「Effect of Praliciguat on Peak Rate of Oxygen Consumption in Patients With Heart Failure With Preserved Ejection Fraction: The CAPACITY HFpEF Randomized Clinical Trial」の要旨をまとめました。駆出率の保たれた心不全(Heart failure with preserved ejection fraction: HFpEF)の特徴として一酸化窒素欠乏があります。駆出率の保たれた心不全における経口可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬「praliciguat」の有効性、有害影響を評価するために、無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験、「CAPACITY HFpEF」試験を実施しました。59施設、駆出率40%以上の心不全最大酸素摂取率(peak Vo2)低下、一酸化窒素欠乏に関連する基礎疾患(糖尿病、高血圧、肥満、加齢)2つ以上、196例を対象に、praliciguat 40mg群、プラセボ群に無作為化、2017年から2019年、参加登録、2019年まで追跡しました。12週間、praliciguat1日40mg投与群91例、プラセボ群90例に無作為に割り振りました。有効性の主要評価項目は8週間後以降の最大酸素摂取率のベースラインからの変化としました。副次評価項目はベースラインからの6分間歩行距離、換気、二酸化炭素生成量曲線等の換気の有効性としました。有害事象の主要評価項目は治療関連有害事象(treatment-emergent adverse events: TEAEs)としました。結果、181例、平均年齢70歳、女性75例(41%)、155例(86%)試験完了しました。プラセボ群78例、praliciguat群65例、最大酸素摂取率の変化はそれぞれ、0.04 mL/kg/min(95% CI, -0.49 to 0.56)、-0.26 mL/kg/min(95% CI, -0.83 to 0.31)、プラセボ調整後、ベースラインからの平均変化の両群間の最小二乗は、-0.30 mL/kg/min([95% CI, -0.95 to 0.35]; P = .37)、有意差を認めませんでした。事前指定副次評価項目3項目のいずれも統計学的に有意ではありませんでした。プラセボ群、praliciguat群、6分間歩行距離の変化はそれぞれ、58.1 m(95% CI, 26.1-90.1)、41.4 m(95% CI, 8.2-74.5)、プラセボ調整後、ベースラインからの平均変化の両群間の最小二乗は-16.7 m(95% CI, -47.4 to 13.9)でした。プラセボ群、praliciguat群、プラセボ調整後、換気、二酸化炭素生成曲線の平均変化の両群間の最小二乗は、-0.3(95% CI, -1.6 to 1.0)でした。praliciguat群、プラセボ群、目眩(9.9% vs 1.1%)、低血圧(8.8% vs 0%)、頭痛(11% vs 6.7%)でした。治療関連有害事象を比較、重大治療関連有害事象の頻度は両群間で同等(10% in the praliciguat group and 11% in the placebo group)でした。駆出率の保たれた心不全において、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬「praliciguat」は、プラセボと比べて、ベースラインから12週間後の最大酸素摂取率の有意な改善を認めませんでした。本所見から、駆出率の保たれた心不全に対して、praliciguatの使用を支持するものではありませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33079154
可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬「praliciguat」の第II相試験です。駆出率の保たれた心不全に対して有効性を認めませんでした。同じく、経口可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬「vericiguat」も駆出率の保たれた心不全に対して有効性を認めませんでした。


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