2018/4/6、急性スタンフォードB型大動脈解離の大動脈弓拡大に対するピタバスタチンの抑制作用について調べた日本の研究「Suppressive effect of pitavastatin on aortic arch dilatation in acute stanford type B aortic dissection: analysis of STANP trial」の要旨をまとめました。

2018/4/6、急性スタンフォードB型大動脈解離の大動脈弓拡大に対するピタバスタチンの抑制作用について調べた日本の研究「Suppressive effect of pitavastatin on aortic arch dilatation in acute stanford type B aortic dissection: analysis of STANP trial」の要旨をまとめました。非複雑性の急性B型大動脈解離(acute type B aortic dissection)の薬物療法に関しては主に早期転帰において容認されていますが、しかしながら、大動脈関連合併症において長期転帰は満足の行くものではありません。急性B型大動脈解離の既存の薬物療法の有効性に加えて、スタチンの追加の有効性を調べるために、非複雑性急性B型大動脈解離に対して多施設前向き無作為化比較研究を実施しました。組み込み基準を満たす急性B型大動脈解離50例、ピタバスタチン投与群、対象群、2群に無作為に割り振りました。1年間追跡しました。結果、対照群2例は追跡期間中離脱しました。さらに、大動脈関連介入2例、血管内修復による大動脈解離入口部閉鎖各群1例実施しました。1年後の大動脈弓径は、ピタバスタチン群は対照群と比べて小さい傾向(P = 0.17)で、1年後の大動脈弓径の変化率はピタバスタチン群で有意に低値(P = 0.046)を認めました。多変量解析にて、大動脈弓径の危険因子として偽腔開存性を特定、ピタバスタチン投与は負の危険因子(P = 0.03)でした。標準的な降圧治療に加えてピタバスタチンの投与は、急性B型大動脈解離において大動脈弓拡大に対して抑制的に作用する可能性があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29626287
大動脈解離後の大動脈弓部拡大に対して、第一に血圧コントロールが最も重要ですが、ピタバスタチン(リバロ)の追加がより有用かも知れないという日本の研究です。高血圧だけでなく脂質異常症も合併している場合にはいずれにせよスタチンの投与も必要になってくることが多いので、どうせスタチンを使用するならピタバスタチン(リバロ)を選択する一つの理由になりそうです。詳しくは主治医までご相談ください。

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