2020/12/14、長期持続型永続性心房細動に対してカテーテルアブレーションと胸腔鏡下外科的アブレーションを比較した研究「Catheter ablation vs. thoracoscopic surgical ablation in long-standing persistent atrial fibrillation: CASA-AF randomized controlled trial」の要旨をまとめました。

2020/12/14、長期持続型永続性心房細動に対してカテーテルアブレーションと胸腔鏡下外科的アブレーションを比較した研究「Catheter ablation vs. thoracoscopic surgical ablation in long-standing persistent atrial fibrillation: CASA-AF randomized controlled trial」の要旨をまとめました。長期持続型永続性心房細動(Long-standing persistent atrial fibrillation: LSPAF)のカテーテルアブレーション治療転帰はまだ課題があります。胸腔鏡下外科的アブレーション(surgical ablation: SA)は心房細動において確実な有効性があります。新規の長期持続型永続性心房細動の初回介入戦略として、外科的アブレーションはカテーテルアブレーションと比べて優れているかを検証する多施設無作為化対照試験を実施しました。長期持続型永続性心房細動120例、外科的アブレーション、カテーテルアブレーションに無作為に割り振りました。全例、型通りの手技を実施、埋込み型ループレコーダの挿入を行いました。主要評価項目は初回手技後12ヶ月間の抗不整脈薬なしで30秒間以上の心房細動、心房頻拍のない率としました。副次評価項目は臨床的成功、心房細動、心房頻拍負荷の75%以上の減少、手技関連重大有害事象、患者の自覚症状の変化、生活の質スコア、費用対有効性としました。12ヶ月後、心房細動、心房頻拍なしは、外科的アブレーション群54例中14例(26%)、カテーテルアブレーション群60例中17例(28%)、有意差なし(OR 1.128, 95% CI (0.46-2.83), P = 0.83)でした。心房細動、心房頻拍負荷の減少は外科的アブレーション群67%、カテーテルアブレーション群77%、有意差なし(OR 1.13, 95% CI (0.67-4.08), P = 0.3)でした。介入後30日以内の手技関連重大有害事象は外科的アブレーション群15%、カテーテルアブレーション群10%、有意差なし(P = 0.46)でした。外科的アブレーション後死亡1例が報告されました。心房細動の自覚症状の改善はカテーテルアブレーション群で優れていました。12ヶ月間、外科的アブレーションはカテーテルアブレーションと比べて高価(more expensive)で、生活の質調整生存年(quality-adjusted life-years: QALYs)の改善(0.78 vs. 0.85, P = 0.02)を認めませんでした。長期持続型永続性心房細動の治療において胸腔鏡下外科的アブレーションはカテーテルアブレーションと比べて優越性を認めませんでした。カテーテルアブレーションは外科的アブレーションと比べて、自覚症状の改善、追跡期間中の生活の質調整生存年の有意な改善を認めました。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32860414
長期永続性心房細動の初回治療として通常のカテーテルアブレーションと胸腔鏡下外科的アブレーションを比較した研究です。治療アウトカムに有意差を認めなく、外科的アブレーションの優越性を認めませんでした。心房細動の治療について、治療選択肢について悩まれる方がいますが、重要なことは長期永続性心房細動になるといずれの場合においても治療成績が30%未満に下がってしまうということで、発作性心房細動のうちに見つけることが出来ているのであれば発作性心房細動のうちに治療を行うことが大切です。

PAGETOP