日本動脈硬化学会から「スタチン不耐に関する診療指針2018」が発表されました。動脈硬化性疾患の治療のための必須薬であるスタチンは一定頻度で筋障害や肝機能障害を起こすことが知られていますが、実際には軽度で十分に継続可能なものから、スタチンの継続服用が困難な状態、スタチン不耐(statin intolerance)と判断せざるを得ない例まで幅広く経験します。また、スタチンの副作用を過度に懸念するあまり軽度な筋症状のみでスタチンを中止してしまい、十分なLDLの低下が達成されない問題点も報告されています。今まで、どのような場合には中止が必要で、どのような場合は継続が可能なのか、明確なルールがなく、個々の医師が判断していたのが現状でしたが、このたび、診療指針としてまとめられました。
→http://www.j-athero.org
→http://www.j-athero.org/publications/pdf/statin_intolerance_2018.pdf
要点をまとめると、スタチン不耐(statin intolerance)とは、「スタチン服用に伴って見られる有害事象により、服用者の日常生活に許容困難な障害が生じ、その結果服薬中断や減量に至るもの」と定義、継続困難な理由として大きく筋障害と肝機能障害の2つに分類し、それぞれのフローチャートが定められました。具体的には、スタチン開始後は4週間後を目安に自覚症状と検査値(脂質、肝機能、CK等)を評価し、筋症状やCK値上昇が認められた場合は「筋フローチャート」を、肝機能異常が認められた場合は「肝フローチャート」で今後の対応方針を決めます。筋フローチャートでは、CK値の基準値上限(Upper limit of normal: ULN)と比較したCK値(4倍未満、4倍以上10倍未満、10倍以上)とスタチン関連筋症状(statin-associated muscle symptoms: SAMS)の有無を指標にカテゴリー分類を行い、継続、他のスタチンへの切り替え、減量、または中止の判断を行い、2-4または4-6週間で評価を行うこと、肝フローチャートでは、ALT値(ULNの3倍以下、3倍超)とTB値(ULNの2倍以下、2倍超)を指標にカテゴリー分類を行い、継続、他のスタチンへの切り替え、中止、または直ちに中止を判断します。スタチン不耐には、どのスタチンのいかなる投与量でも継続困難な「完全不耐」と、特定のスタチンのある用量でのみ継続困難な「部分不耐」とに区別し、特定のスタチンに対して不耐であっても他のスタチンへの変更で対処可能な例も少なくないことを記載しています。詳しくは日本動脈硬化学会「スタチン不耐に関する診療指針2018」をご覧ください。循環器内科.comに以前スタチン、脂質異常症についてまとめたものがありますので、合わせてをご覧ください。
・スタチン→http://循環器内科.com/statin
・脂質異常症→http://循環器内科.com/dl
・家族性高コレステロール血症→http://循環器内科.com/fh
【重要】ご来院前にご確認ください。
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。対象は狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。一般的な内科診療は行っていませんので予めご了承ください。都内の医療機関探しは東京都医療機関案内サービスひまわりをご活用ください。
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【お茶の水循環器内科】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。当院は2014年秋、「心血管疾患の一次予防」を理念に神田小川町にてスタートしました。2016年春、現在の神田神保町にお引越し、2018年春、「その医療は心筋梗塞を減らすだろうか?」という行動規範のもと、循環器専門の医療機関になりました。世の中には救える病気とそうでない病気があります。その中で、心筋梗塞と脳卒中は血管の故障が原因であり、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、喫煙、心房細動等の心血管疾患の危険因子をコントロールすることで十分に予防可能です。心血管疾患の危険因子に対して適切な治療介入と治療継続のために、お茶の水循環器内科は夜間も土日も診療をオープンにしています。心筋梗塞と脳卒中を防ぐこと、これが当院のミッションです。お茶の水循環器内科をどうぞよろしくお願いいたします。
お茶の水循環器内科院長五十嵐健祐
【具体的な診療範囲】
お茶の水循環器内科は循環器専門の医療機関です。循環器内科とは心臓と血管を専門に診る診療科です。具体的には、狭心症、心筋梗塞等の冠動脈疾患、心房細動を始めとする不整脈、心血管疾患の危険因子としての高血圧症、脂質異常症、糖尿病等の生活習慣病、慢性心不全等の循環器疾患です。循環器内科の診療範囲を具体的にまとめました。
・冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症、他)
・心筋梗塞後、抗血小板療法、ステント留置後の管理、バイパス術後の管理・慢性心不全の管理
・心臓弁膜症(僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、他)
・弁置換術後の管理、弁形成術後の管理、抗凝固療法・心筋症(肥大型心筋症、拡張型心筋症、高血圧性心肥大、他)
・大動脈瘤、大動脈解離後の管理
・不整脈(心房細動、房室ブロック、上室期外収縮、心室期外収縮、他)
・心房細動の抗凝固療法、心原性脳塞栓症の予防、アブレーション治療の適応の評価、アブレーション治療後の管理
・脳卒中、脳血管障害、脳梗塞(ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症)、脳出血、くも膜下出血、一過性脳虚血発作、脳卒中後の管理
・高血圧症、二次性高血圧症
・脂質異常症、家族性高コレステロール血症
・2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病合併症の管理、インスリン管理
・慢性腎臓病、腎硬化症の管理、糖尿病性腎症の管理
・その他、健診後の再検査、食事指導、運動指導、禁煙外来、など
以上、心臓と血管を専門に診る診療科が循環器内科です。高血圧症、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病等の生活習慣病も心血管疾患の危険因子として循環器内科の守備範囲です。心筋梗塞や脳卒中にならないようにする、一度なってしまっても再発しないようにする、というのが循環器内科の仕事です。予防に勝る治療はありません。受付または主治医までお気軽にご相談ください。