2019/12/17(火)、院外心停止におけるAEDの使用と神経学的予後の関係ついて調べた日本の研究「Public-access defibrillation and neurological outcomes in patients with out-of-hospital cardiac arrest in Japan: a population-based cohort study」の結果をまとめました。

2019/12/17(火)、院外心停止におけるAEDの使用と神経学的予後の関係ついて調べた日本の研究「Public-access defibrillation and neurological outcomes in patients with out-of-hospital cardiac arrest in Japan: a population-based cohort study」の結果をまとめました。国立循環器病研究センター(National Cerebral and Cardiovascular Centre)は、消防庁ウツタイン様式救急蘇生統計(All-Japan Utstein Registry)のデータから、2005年から2015年までの院外心停止は129万9784例、54万7908例が非心原性心停止で、目撃者がいてその場の目撃者による心肺蘇生(Bystander-CPR)を受けた例は11万5406例、ショック適応リズムの心電図波形が確認出来た例2万8019例で、救急隊到着までに自己心拍再開が得られなかった2万7329例を対象に、AEDの使用と神経学的予後の関係について後方視的に解析を行いました。結果、救急隊到着前にAEDの使用を受けていたのは2242例、AEDの使用を受けていない例は2万5087例でした。神経学的予後が良好な割合は、AED使用群845例(37.7%)、AED非使用群5676例(22.6%)、AED使用群のほうが良好(OR 2.07 95%CI1.89-2.26)でした。心停止後30日時点の生存割合は、AED使用群987例(44.0%)、非使用群7976例(31.8%)、で良好(OR 1.69、95%CI 1.55-1.84)でした。他の因子をマッチさせた後の解析でも同様の傾向を認めました。これらの結果から、救急隊到着前に自己心拍再開を得られなくても、AED使用群で神経学的予後が良いことが明らかになりました。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(19)32488-2/fulltext
統計データからは救急隊到着までに自己心拍再開が得られた例は、2万8019例のうち690例しかないことがわかりますが、自己心拍再開が得られれば勿論予後は良いですが、仮に自己心拍再開が得られなくてもAEDの使用によって予後が向上することがわかり、目撃者による心肺蘇生の重要性をより強調する結果となりました。

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