2019/11/25(月)、「Circulation Journal Volume 83 2019 Issue 12」、不規則脈波検出機能付き自動血圧計を用いた心房細動検出アルゴリズムの進歩についての研究「Development of a Novel Algorithm to Detect Atrial Fibrillation Using an Automated Blood Pressure Monitor With an Irregular Heartbeat Detector」の結果をまとめました。

2019/11/25(月)、「Circulation Journal Volume 83 2019 Issue 12」にて、不規則脈波検出機能付き自動血圧計を用いた心房細動検出アルゴリズムの進歩についての研究「Development of a Novel Algorithm to Detect Atrial Fibrillation Using an Automated Blood Pressure Monitor With an Irregular Heartbeat Detector」の結果をまとめました。発作性心房細動や無症候性心房細動の診断のためには、日常生活における簡便でかつ信頼性の高いスクリーニング方法の開発が重要です。イギリスではMicrolife社製の家庭用血圧計にて心房細動のスクリーニングを行うことが推奨されています。今回、日本のオムロン社製の自動血圧計で、不規則脈波(Irregular Heartbeat: IHB)検出機能付きものを用いて、心房細動の検出精度を検証しました。具体的には、香川大学病院に入院または通院中の252例と、香川県の老人ホームの入所者52例の合計303例を対象に、オムロン社製の自動血圧計「HEM-907」を使用、日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」に従い、1分間隔で3回、血圧測定を行いました。既存のアルゴリズムでは血圧測定中の平均脈波間隔が±25%以上の差がある場合に不規則脈波(IHB)と判定する仕様になっていますが、今回の研究では新たなアルゴリズムの開発を行いました。心房細動の確定診断は、血圧測定と同時に行った単極誘導心電図検査により行いました。結果、44例(14%)が心電図検査にて心房細動が確認されました。非AF群は259例で、心房細動以外の不整脈が認められる群48例(16%)、正常洞調律群211例(70%)でした。解析の結果、アルゴリズムの心房細動の診断精度は、感度95.5%、特異度96.5%、正診率96.4%でした。正常洞調律群は全て正確に判定可能でした。その他の不整脈群は、48例のうち39例がこのアルゴリズムによって心房細動ではないと判定されましたが、9例は頻回の期外収縮を認めており、心房細動と区別されませんでした。呼吸性変動を心房細動と間違って判定した例はありませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/advpub/0/advpub_CJ-19-0349/_article/-char/ja
9例の期外収縮の頻発も心電図検査を行えば鑑別可能であり、偽陽性率3.5%、偽陰性率4.5%という精度は一次スクリーニング検査としては十分に満足の行くものではないでしょうか。心房細動は、発作性心房細動や無症候性心房細動など未診断が問題で、少しでも診断に貢献するような取り組みは良いことだと考えています。様々なデバイス等が登場して来ていますが、正しい診断に寄与するものはぜひ積極的に日常診療に取り入れていきたいところです。

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