2020/1/9(木)、無症候性大動脈弁狭窄症に対する早期手術と保存的治療を比較した研究「Early Surgery or Conservative Care for Asymptomatic Aortic Stenosis: RECOVERY Trial」の結果をまとめました。

2020/1/9(木)、無症候性大動脈弁狭窄症に対する早期手術と保存的治療を比較した研究「Early Surgery or Conservative Care for Asymptomatic Aortic Stenosis: RECOVERY Trial」の結果をまとめました。有症状の重症大動脈弁狭窄症は原則的に手術適応ですが、無症状の場合の手術適応については議論が続いています。重症大動脈弁狭窄症(大動脈弁口面積 0.75以下、かつ大動脈弁最高血流速度4.5 m/秒以上または平均圧較差50mmHg 以上と定義)で、無症状例145例を対象に、早期に手術を行う群73例、保存的治療を行う群72例に分け、予後を追跡しました。結果、早期手術群73例のうち69例(95%)2ヵ月以内の早期に手術を受けました。手術中の死亡はありませんでした。術後30日以内の死亡または追跡期間中の心血管系死は、早期手術群1例(1%)、保存的治療群11例(15%)で、早期手術群で有意に91%減少(HR 0.09、95%CI 0.01-0.67、P=0.003)を認めました。保存的治療群では突然死の累積発生率は4年間で4%、8年間14%でした。この結果から無症候性であっても重度大動脈弁狭窄症は手術の価値はあるとまとめています。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1912846
以前から指摘されているように、大動脈弁狭窄症は症状が出現し始めてからの予後は非常に悪く、生命予後は一般的に、狭心症症状出現で5年、失神3年、心不全2年と言われています。また、重度の大動脈弁狭窄症は突然死のリスクでもあることも知られています。今回の研究結果からは症状の有無を問わず、重度の大動脈弁狭窄症が見付かった時点で手術適応を考慮可能ということでしょう。詳しくは主治医まで相談ください。

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