2019/12/9(月)、少量から中等量のアルコールの生涯摂取とがんリスクとの関係を調べた日本の研究「Light to moderate amount of lifetime alcohol consumption and risk of cancer in Japan」の結果をまとめました。

2019/12/9(月)、少量から中等量のアルコールの生涯摂取とがんリスクとの関係を調べた日本の研究「Light to moderate amount of lifetime alcohol consumption and risk of cancer in Japan」の結果をまとめました。少量から中等量のアルコール摂取でさえも発がんが増えることが知られていますが、日本人においてはどのような関係にあるかを東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻らの研究グループがまとめました。2005年から2016年の全国の多施設データから、がん63232例、対照群63232例のデータを解析しました。生涯アルコール摂取量(drink-years)は、一日平均アルコール摂取量(drinks per day)と年数(years)によって求められます。ロジスティクス解析によって、がん全体及び各がんのリスクを算出しました。曲線からわかることは、最小の発がんリスクのアルコール摂取量は0 drink-yearsであり、発がんリスクは10 drink-yearsでは1.05倍(OR 1.05 95%CI 1.04-1.06)、20 drink-yearsでは1.06倍(OR 1.06 95%CI 1.01-1.11)のリスク増加になることがわかりました。各がんにおけるアルコール摂取量との関係は以下の図のようになりました。

リスクの高い順に、食道がん、喉頭がん、口腔内・咽頭がん、結腸・直腸がん、肝臓がん、胃がん、乳がん、詳しくは論文をご覧ください。
https://acsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/cncr.32590
日本においても、少量から中等量のアルコール摂取はがんリスクの増加に関係していることが明らかになりました。心血管疾患は少量のアルコールでは若干減るという報告もありますが、アルコール摂取量に応じてがんの増加があるため、病気全体としては打ち消し合ってしまい、アルコール摂取量が増えれば増えるほど病気は増えるということが明らかになっています。以前Lancetの論文をまとめましたので合わせてご覧ください。
「アルコール摂取について新たなエビデンスが発表されました。」→https://ochanomizunaika.com/7396

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