2020/1/28(火)、非ST上昇型急性心筋梗塞における鎮痛目的のモルヒネ投与の影響を調べた研究「Morphine and Cardiovascular Outcomes Among Patients With Non-ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndromes Undergoing Coronary Angiography」の結果をまとめました。アメリカでは急性心筋梗塞の鎮痛目的にモルヒネが使用されることがありますが、その安全性を調べるために、非ST上昇型急性心筋梗塞(non-ST-segment elevation acute coronary syndromes: NSTEACS)におけるクロピドグレルの有効性を調べた試験「EARLY ACS( Early Glycoprotein IIb/IIIa Inhibition in Patients With Non–ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndrome) trial」の参加者5438例を対象に、二次解析を行いました。結果、モルヒネの使用は、4日以内の死亡、心筋梗塞、虚血の再発、血栓の遊離のリスクを有意に上昇(調整後OR 1.40 95%CI 1.04 to 1.87 p=0.026)させていました。また、30日以内の死亡、心筋梗塞のリスクも有意に上昇(調整後OR 1.29 95%CI 0.98 to 1.70 p=0.072)させていました。最初の48時間以内に多く発生(調整後HR 1.54 95%CI 1.07 to 2.23 p=0.021)していました。クロピドグレルを使用していない群ではモルヒネの使用によるイベントは増加しませんでした。詳しくは論文をご覧ください。
→https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109719385171
アメリカでは急性心筋梗塞の鎮痛目的にモルヒネが使用されることが多いと聞きますが、これが有害であるということが明らかになりました。学生時代の教科書には心筋梗塞の初期対応としてMONA(モルヒネ、酸素、硝酸薬、アスピリン)と習ったのを覚えていますが、これは見直しが必要という研究結果です。日本では、酸素、バイアスピリンは使われますが、モルヒネを使うことは見たことがありません。クロピドグレルを使用していない群ではモルヒネの害が出ていないことも興味深いところです。
2020/1/28(火)、非ST上昇型急性心筋梗塞における鎮痛目的のモルヒネ投与の影響を調べた研究「Morphine and Cardiovascular Outcomes Among Patients With Non-ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndromes Undergoing Coronary Angiography」の結果をまとめました。