2020/3/11(水)、小児期からの心血管健康が中年期の動脈硬化へ与える影響について調べた研究「Cardiovascular Health Trajectories From Childhood Through Middle Age and Their Association With Subclinical Atherosclerosis」の結果をまとめました。

2020/3/11(水)、小児期からの心血管健康が中年期の動脈硬化へ与える影響について調べた研究「Cardiovascular Health Trajectories From Childhood Through Middle Age and Their Association With Subclinical Atherosclerosis」の結果をまとめました。心血管健康(cardiovascular health: CVH)は加齢における心血管疾患と関連していますが、長期の追跡データは不足していました。小児期の心血管健康が中年期の動脈硬化に与える影響について調べるために、アメリカとフィンランドにおいて、1973年から2015年まで、5つの前向きコホート研究のデータから、8歳から55歳までの総数9388例を集めました。臨床的な心血管健康因子(Clinical CVH factors)として、BMI、総コレステロール、血圧、血糖をスコア化(CVH score)し、理想的(ideal)、中間(intermediate)、望ましくない(poor)に分類しました。頸動脈内膜中膜複合体厚(Carotid intima-media thickness: cIMT)をマーカーとし、90%以上を高cIMTと定義しました。cIMTと心血管健康は、人種、ベースラインまたは直近の健康行動を調整後も線形の関係があることが知られています。心血管健康の軌跡(Trajectories)として5つのグループ、high-late decline 1518例(16%)、high-moderate decline 2403例(26%)、high-early decline 3066例(32%)、intermediate-late decline 1475例(16%)、intermediate-early decline 926例(10%)に分けられました。high-late decline群では他の群と比べて、人種差、喫煙歴、食事、運動を調整後も有意にcIMTが低値(0.64 mm 95%CI 0.63-0.65 mm vs 0.72 mm 95%CI 0.69-0.75 mm P<0.01)でした。intermediate-early declining群はhigh-late decline群と比べて、ベースラインと直近のCVHスコア調整後もcIMTが高値(OR 2.4 95%CI 1.3-4.5)でした。早期の段階からの理想的な心血管健康への促進と維持(Promoting and preserving ideal CVH from early life)はその後の人生における心血管疾患リスクを減少させるかも知れないと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2762494
心血管健康(cardiovascular health: CVH)、心血管健康スコア(CVH score)とは聞き慣れない表現ですが、具体的には、体重、血圧、脂質、血糖をコントロールすることです。高血圧、脂質異常、糖尿病らは生活習慣病(lifestyle disease)と呼ぶくらいですから、生活習慣(lifestyle)が重要です。人生のより早い段階での介入が重要ではないかという研究結果です。AHAでは小児期からのCVHの重要性を提唱しています。
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/circulationaha.109.192703

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