2020/2/18(火)、冠動脈疾患に対する多遺伝子リスクスコアを用いた予測と臨床リスクスコアの予測精度について調べた研究「Predictive Accuracy of a Polygenic Risk Score–Enhanced Prediction Model vs a Clinical Risk Score for Coronary Artery Disease」の結果をまとめました。

2020/2/18(火)、冠動脈疾患に対する多遺伝子リスクスコアを用いた予測と臨床リスクスコアの予測精度について調べた研究「Predictive Accuracy of a Polygenic Risk Score–Enhanced Prediction Model vs a Clinical Risk Score for Coronary Artery Disease」の結果をまとめました。多遺伝子リスクスコア(polygenic risk scores)を既存の冠動脈疾患(coronary artery disease: CAD)予測スコアに上乗せすることで予測精度が増加するかどうかを検証するために、2006年から2010年まで、UKバイオバンクの観察研究にて、既存の遺伝子研究の統計情報から冠動脈疾患の多遺伝子リスクスコアを確立、蓄積コホート研究と冠動脈疾患、多遺伝子リスクスコアと蓄積コホート研究のリスクスコアを組み合わせたもの予測能を比べました。一次転帰は心筋梗塞及び心筋梗塞後遺症としました。識別、較正、再分類を行いました。結果、登録者352660例、平均年齢55.9歳、女性58.2%、8年間の追跡期間の間に6272例は冠動脈疾患イベントを発生を認めました。C統計量(C statistics)は、 冠動脈疾患多遺伝子リスクスコア0.61(95%CI 0.60 to 0.62)、蓄積コホート研究0.76(95% CI, 0.75 to 0.77)、両者の組み合わせ0.78(95% CI, 0.77 to 0.79)でした。2つのモデルの組み合わせによるC統計量の変化は0.02(95% CI, 0.01 to 0.03)でした。蓄積コホート研究の予測スコアに、多遺伝子リスクスコアを加えた場合の再分類の向上(reclassification improvement)は、冠動脈疾患あり例4.4%(95% CI, 3.5% to 5.3%)、冠動脈疾患なし例−0.4%(95% CI, −0.5% to −0.4%)で、全体の再分類の向上は4.0%(95% CI, 3.1% to 4.9%)でした。多遺伝子リスクスコアを蓄積コホート研究の結果に追加することは、わずかですが、統計的に有意に冠動脈疾患の予測精度を向上させました。蓄積コホート研究と遺伝子情報を臨床現場で使うに当たってはさらなる研究が必要だろうと論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2761088
UKバイオバンクからの報告で、遺伝子情報を加えても、冠動脈疾患に関してはわずかしか予測精度が向上しなかったという研究結果です。冠動脈疾患のリスクとしては先天的要素よりも後天的要素の影響が大きいということでしょう。具体的には、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満等が冠動脈疾患のリスク因子であり、遺伝的要素が強い一部の二次性高血圧症、家族性高コレステロール血症などの遺伝子疾患等を除いて、食事や運動等の生活習慣、後天的要素の影響が大きいということです。


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