2020/3/25(水)、冠動脈CT血管造影の放射線量について調べた日本の研究「Japanese Survey of Radiation Dose Associated With Coronary Computed Tomography Angiography – 2013 Data From a Multicenter Registry in Daily Practice」の結果をまとめました。

2020/3/25(水)、冠動脈CT血管造影の放射線量について調べた日本の研究「Japanese Survey of Radiation Dose Associated With Coronary Computed Tomography Angiography – 2013 Data From a Multicenter Registry in Daily Practice」の結果をまとめました。冠動脈CT血管造影(coronary computed tomography angiography: CTA)は、冠動脈疾患の診断に頻繁に使われています。日本の実臨床における冠動脈CTの放射線量(radiation dose)を評価することと、放射線量の独立した予測因子を特定するために、2013年1月から12月、冠動脈CT血管造影2469例、54施設の多施設後方視的観察研究を実施しました。放射線量の独立した予測因子を特定するために線形回帰分析を行いました。結果、線量と長さの積(dose-length product: DLP)の中央値は、809.0mGy·cm(四分位範囲 350.0– 1368.8)で、11mSvの放射線量に相当します。施設によって有意差(中央値DLP 92–2131mGy·cm P<0.05)を認めました。多変量線形回帰による放射線量の独立した予測因子は、体重、心拍数、安定していない洞調律、スキャン長、管電圧の設定、心電図ガイド撮影プロトコル、画像再構成技術(それぞれP<0.05)でした。 冠動脈CT血管造影の放射線量は2013年において比較的高く、施設間で有意差がありました。放射線量を減らすための効果的な戦略は、管電圧100kVp以下、線量修飾技術を用いた後ろ向き心電図ガイド撮影、前向き心電図ガイド撮影、反復再構成技術でした。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/circj/84/4/84_CJ-19-0843/_article
参考までに、レントゲン1回の放射線量が0.06mSv、放射線を取り扱う医療従事者の線量限度が1年間50mSv、5年間100mSvです。冠動脈CTは非常に有用な検査ですが、11mSvの放射線量はそれなりに多いということが出来ます。逆に言えば、年に1回程度は検査の必要性があれば許容範囲と言うことも出来るでしょう。ちなみに、レントゲンを毎週撮ることはありませんが、仮に毎週撮ったとしても大した放射線量にはなりません。何かご心配があれば主治医までご相談ください。


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