2020/3/28(土)、COVID-19の臨床経過と死亡の危険因子についての研究「Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study」の結果をまとめました。

2020/3/28(土)、COVID-19の臨床経過と死亡の危険因子についての研究「Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study」の結果をまとめました。2019年12月から中国武漢はSARS-CoC-2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)によるCOVID-19のアウトブレイクを経験しました。疫学、臨床的特徴の報告はありましたが、死亡の危険因子、ウイルス排泄(viral shedding)も含む詳しい臨床経過は限られていました。2020/1/31まで、18歳以上で、臨床検査でCOVID-19が確定、中国武漢の金銀潭病院、武漢呼吸器病院を退院または死亡例を対象とした後ろ向き多施設コホート研究を実施しました。人口統計、臨床、治療、血清検体からのRNA検出も含む臨床検査、電子カルテ記録から収集、生存者と非生存者を比較しました。多変数ロジスティクス回帰法にて入院死亡の危険因子を解析しました。結果、191例を対象、137例は退院、54例は死亡しました。91例(48%)は基礎疾患がありました。高血圧58(30%)が最も多く、糖尿病36例(19%)、冠動脈疾患15例(8%)が続きました。多変量回帰の結果、入院死亡のオッズ比増加の関連因子は、高齢(OR 1.10 95%CI 1.03–1.17 per year increase p=0.0043)、SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)スコア高値(OR 5.65 2.61–12.23 p<0.0001)、入院時のDダイマー1.0 μg/mL以上(OR 18.42 2.64–128.55 p=0.0033)
ウイルス排泄の平均期間は生存者で20.0日(四分位範囲17.0–24.0)でした。非生存者からもSARS-CoV-2は検出されました。最も長期のウイルス排泄が観察された例は37日でした。危険因子の可能性としては、高齢、SOFAスコア高値、Dダイマー1 μg/mL以上があり、早期の予後不良の指標になるかも知れません。ウイルス排泄期間の情報は隔離戦略、至適抗ウイルス介入の戦略の根拠となるでしょうと論文ではまとめられています。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(20)30566-3/fulltext
入院時の年齢、SOFAスコア高値、Dダイマーが死亡率と関係していたという報告です。ウイルス排泄は20日前後、最長37日とかなり長い印象です。


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