2019/12/5(木)、薬物乱用が原因の脳血管疾患、心血管疾患の研究「Cerebrovascular and cardiovascular diseases caused by drugs of abuse」の結果をまとめました。

2019/12/5(木)、薬物乱用が原因の脳血管疾患、心血管疾患の研究「Cerebrovascular and cardiovascular diseases caused by drugs of abuse」の結果をまとめました。覚醒剤、鎮静剤、睡眠薬、麻薬等の薬物は薬物乱用(drug abuse)と関連しており、法律によって規制されています。身体への有害性、日常生活への問題への啓発にも関わらず、身体依存(physical dependence)のためコントロールは困難です。薬物依存は全世界の社会的問題となっており、身体合併症は深刻です。多くの薬物は脳血管疾患、心血管疾患の原因となるものも多く、救急医学治療を必要とします。典型的な危険因子がない場合においても、脳血管疾患、心血管疾患の症状を呈する特に若年者において、鑑別診断に含めることは致死的イベントの可能性として重要です。乱用薬物、特に覚醒剤はアドレナリン過剰状態を作り出し、血管収縮、頻脈、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、急性冠症候群、不整脈、大動脈解離を引き起こすことがあります。慢性薬物乱用は心肥大、左室機能障害を引き起こします。治療のためには、鎮静性の薬物が効果的な可能性があります。血管拡張薬もまた必要とされます。αアドレナリン受容体拮抗薬、βアドレナリン受容体拮抗薬を両方使用することは頻脈、血圧上昇に注意してください。注意深い鑑別診断、治療薬の選択が求められます。詳しくは論文をご覧ください。
https://www.nature.com/articles/s41440-019-0367-7
薬物による脳血管疾患、心血管疾患に関する報告です。日本では市販で手に入るものでそこまで危ないものはありませんが、カフェイン、アルコール、タバコ等、交感神経刺激作用の強いものは、頻脈、血圧上昇、動悸症状を起こすことがあります。喘息治療薬のβ刺激作用による動悸、ホルモン剤による血栓症、漢方中のグリチルリチンによる浮腫や血圧上昇もたまに見掛けます。たまに、「救心」を飲んでも治らなかったので心臓病が心配になって来ましたという方がいますが、そもそも「救心」がなぜ効くのかよく知りません。


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