2020/4/17、非ST上昇型心筋梗塞に対してベアメタルステント、薬剤溶出性ステントと薬剤コーテッドバルーンを比較した研究「Bare Metal or Drug-Eluting Stent Versus Drug-Coated Balloon in non-ST-elevation Myocardial Infarction: The Randomised PEPCAD NSTEMI Trial」の結果をまとめました。薬剤コーテッドバルーン(Drug-coated balloons: DCB)はステント関連長期合併症と防ぐのではないかと考えられています。非ST上昇型心筋梗塞(non-ST-elevation myocardial infarction: NSTEMI)において、臨床転帰に差があるかどうか薬剤コーテッドバルーンとステントで比較しました。非ST上昇型心筋梗塞例210例を対象に、パクリタキセル・イオプロミドの薬剤コーテッドバルーンとステント治療と非劣性、多施設無作為化比較対照試験を実施しました。主な組み込み基準は、巨大血栓のないことが血管造影で証明されている責任病変です。一次転帰は、9ヶ月以内の標的病変不全(心血管死、不明の死、再梗塞、標的病変の血行再建の複合転帰)です。二次転帰は総主要有害心血管事象、個別の臨床転帰です。平均年齢67歳、男性67%、多枝病変62%、糖尿病31%でした。薬剤コーテッドバルーン104例、ステント治療106例、ステント治療群のうち、ベアメタルステント56%、薬剤溶出性ステント44%でした。薬剤コーテッドバルーン群のうち8%%は薬剤コーテッドバルーン単独の治療、15%は追加のステント留置を受けました。9.2年間の追跡期間において、薬剤コーテッドバルーン群はステント治療群と比べて、標的病変不全は3.8%、6.6%で、非劣性(p=0.53)を認めました。ベアメタルステントと薬剤溶出性ステントの間にも有意な差を認めませんでした。総主要有害心血管事象の発生率は、薬剤コーテッドバルーン群6.7%、ステント治療群14.2%で、有意差(p=0.11)を認めませんでした。プロトコル解析では、5.9%、14.4%で有意差(p=0.056)には至りませんでした。非ST上昇型心筋梗塞の冠動脈新規病変において、薬剤コーテッドバルーンは、ベアメタルステント、薬剤溶出性ステントによるステント治療と比べて、非劣性を認めました。薬剤コーテッドバルーンにおいてはさらなる大規模な研究が進行中です。詳しくは論文をご覧ください。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31659986
薬剤コーテッドバルーンの表面に塗布されているのは、パクリタキセルと造影剤のイオプロミドだそうです。なぜ造影剤かと疑問に思ったのですが、血管壁でいい感じに染み渡るそうです。ステント留置がなければステント関連合併症は起こり得ないので、期待の治療選択肢になっていくのかも知れません。
2020/4/17、非ST上昇型心筋梗塞に対してベアメタルステント、薬剤溶出性ステントと薬剤コーテッドバルーンを比較した研究「Bare Metal or Drug-Eluting Stent Versus Drug-Coated Balloon in non-ST-elevation Myocardial Infarction: The Randomised PEPCAD NSTEMI Trial」の結果をまとめました。