2020/5/20、2型糖尿病において胃バイバス手術による減量と腎臓、心血管転帰について調べた研究「Renal and Cardiovascular Outcomes After Weight Loss From Gastric Bypass Surgery in Type 2 Diabetes: Cardiorenal Risk Reductions Exceed Atherosclerotic Benefits」の結果をまとめました。

2020/5/20、2型糖尿病において胃バイバス術による減量と腎臓、心血管転帰について調べた研究「Renal and Cardiovascular Outcomes After Weight Loss From Gastric Bypass Surgery in Type 2 Diabetes: Cardiorenal Risk Reductions Exceed Atherosclerotic Benefits」の結果をまとめました。2型糖尿病、肥満に対する胃バイバス術後の腎臓、心血管転帰について、複数の腎機能カテゴリ、全国コホート試験を実施しました。北欧における全国糖尿病登録研究、スカンジナビア肥満手術登録研究(National Diabetes Register and the Scandinavian Obesity Surgery Register)、北欧4カ国のデータベースから、2型糖尿病で胃バイバス術を受けた5321例と、社会経済因子、内服歴、入院歴、死因等を一致させた2型糖尿病で胃バイバス術を受けていない5421例、年齢18-65歳、平均BMI 40以上、平均追跡期間4.5年以上、術後転帰リスクはCox回帰モデルにて算出しました。結果、術後最初の1年間において、胃バイバス術群にて、クレアチニン、アルブミン尿、推算糸球体濾過量の軽度低下を認めました。腎機能、心血管疾患、死亡に関連する転帰の発生率のほとんどは胃バイバス術群で低下を認め、特に心不全(HR 0.33 [95% CI 0.24, 0.46])、心血管死(HR 0.36 [(95% CI 0.22, 0.58])は顕著に低下を認めました。胃バイバス術後、重大腎疾患、推算糸球体濾過量の半減の複合リスクは0.56(95% CI 0.44, 0.71)、非致死的心血管リスクは0.82(95% CI 0.70, 0.97])でした。主要転帰リスクは全体的に胃バイバス術群にて低下しており、推算糸球体濾過量30未満の群も含めた全ての推算糸球体濾過量のステージにおいて認めました。肥満、2型糖尿病において、胃バイバス術は腎転帰、心不全、心血管死に対して強いベネフィットを示唆しています。減量は重要なベネフィットがあることを、特に腎臓、心血管においても、進行した慢性腎臓病、末期腎臓病においても示唆されると論文ではまとめています。詳しくは論文をご覧ください。
whatever the baseline renal function status.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32152136
減量手術として胃バイバス術という手段がありますが、減量効果だけでなく、心不全67%減、心血管死64%減、腎機能低下44%減、総死亡42%減と、心血管疾患、死亡を減らす効果もあったとの報告です。人間は何もしないと必要以上に食べるように出来ているということなんでしょうか。日経メディカルでも記事になっていました。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/diabet/202007/566190.html


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