2020/3/24、毎日の歩数と死亡率の関係について調べたアメリカの研究「Association of Daily Step Count and Step Intensity With Mortality Among US Adults」の要旨をまとめました。

2020/3/24、毎日の歩数と死亡率の関係について調べたアメリカの研究「Association of Daily Step Count and Step Intensity With Mortality Among US Adults」の要旨をまとめました。一日あたりの歩数、歩行の強度をどの程度増やせば死亡率を減らせるのか十分にわかっていませんでした。歩数、歩行強度と死亡率の用量反応関係を調べるために、2003年から2006年、アメリカにて、40歳以上の成人を対象に、国民健康栄養調査「National Health and Nutrition Examination Survey」を実施、7日間の加速度計にて測定しました。死亡率は2015年まで収集しました。加速度計によって測定された1日あたりの歩数、歩数の3段階強度(extended bout cadence, peak 30-minute cadence, and peak 1-minute cadence [steps/min])を測定しました。加速度計のデータは、開始時から7日間に渡って測定しました。主要転帰は全死亡としました。副次転帰は心血管死亡、がん死亡としました。ハザード比、死亡率、95%信頼区間は、年齢、性別、人種、教育歴、食事、喫煙状況、BMI、自己申告健康感、移動の制限、糖尿病、脳卒中、心疾患、心不全、がん、慢性気管支炎、肺気腫等を調整後、立体スプライン四分位分類によって算出しました。結果、4840例、平均年齢56.8歳、女性2435例(54%)、肥満1732例(36%)、平均5.7日間、1日平均14.4時間加速度計を使用しました。1日あたりの平均歩数は9124歩でした。10.1年間の追跡、1165例の死亡が発生、心血管疾患406例、がん死亡283例でした。歩数と全死亡の調整前発生率は、1日4000歩未満の655例においては1000人年あたり76.7、419死亡で、1日4000歩から7999歩の1727例においては1000人年あたり21.4、488死亡で、1日8000歩から11999歩の1539例においては1000人年あたり6.9、176死亡で、1日12000歩以上の919例においては1000人年あたり4.8、82死亡でした。1日4000歩と比べて、1日8000歩は全死亡の51%低下と有意に関連(HR, 0.49 [95% CI, 0.44-0.55])を認め、1日12000歩では死亡率65%低下(HR, 0.35 [95% CI, 0.28-0.45])を認めました。1分間あたりの歩数と全死亡の調整前発生率は、1分間あたり18.5歩から56.0歩の1080例において1000人年あたり32.9、406死亡で、1分間あたり56.1歩から69.2歩の1153例において1000人年あたり12.6、207死亡で、1分間あたり69.3歩から82.8歩の1074例において1000人年あたり6.8、124死亡で、1分間あたり83.9歩から149.5歩の1037例において1000人年あたり5.3、108死亡でした。歩数の密度が高いことは、1日あたりの総歩数で補正すると、死亡率低下と有意な関連(eg, highest vs lowest quartile of peak 30 cadence: HR, 0.90 [95% CI, 0.65-1.27]; P value for trend = .34)は認めませんでした。アメリカ成人の研究から、1日あたりの歩数が多いことは全死亡の低下と有意に関連を認めました。歩数の密度は1日あたりの総歩数で調整後は死亡率と有意な関連は認めませんでした。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2763292
1日あたりの歩数が大事という研究です。1日4000歩未満と比べて、1日8000歩で死亡率51%低下、1日12000歩で死亡率65%低下です。一日の歩数の目安はどれくらいを目標とするのがいいですか?としばしば聞かれますが、10000歩前後が目安と答えるのはこれが根拠です。まずは8000歩を目標、欲を言えば12000歩が良いということが明らかになりました。さらに理想としては16000歩においても死亡率低下効果は確認されています。日経スタイルの記事にもなっていました。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO61941050X20C20A7000000


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