2020/10/8、入院時のシタグリプチン治療と2型糖尿病、COVID-19の死亡率の関係を調べた研究「Sitagliptin Treatment at the Time of Hospitalization Was Associated With Reduced Mortality in Patients With Type 2 Diabetes and COVID-19: A Multicenter, Case-Control, Retrospective, Observational Study」の要旨をまとめました。

2020/10/8、入院時のシタグリプチン治療と2型糖尿病、COVID-19の死亡率の関係を調べた研究「Sitagliptin Treatment at the Time of Hospitalization Was Associated With Reduced Mortality in Patients With Type 2 Diabetes and COVID-19: A Multicenter, Case-Control, Retrospective, Observational Study」の要旨をまとめました。COVID-19(coronavirus disease 2019)、2型糖尿病は不良転帰と関連が報告されており、糖尿病集団に対して新規の治療アプローチが求められています。経口高選択性DPP4阻害薬シタグリプチン、糖尿病、COVID-19の入院時に標準治療に追加、多施設症例対照後ろ向き観察研究を実施しました。各施設では、年齢、性別一致、同数の対照群を設定しました。全例、肺炎、大気呼吸で酸素飽和度95%未満または酸素サポートを受けていました。主要評価項目は退院、死亡または7分野の修正ordinalスケールのうち、少なくとも2点以上の改善と定義した臨床転帰の改善としました。シタグリプチンの処方を受けている例を対象に、2020/3/1から4/30まで後ろ向きにデータを収集しました。結果、北イタリア病院、2型糖尿病、COVID-19、連続338例、シタグリプチン169例、標準治療169例を解析しました。入院時のシタグリプチン治療は対照群と比べて、死亡率低下(18% vs. 37% of deceased patients; hazard ratio 0.44 [95% CI 0.29–0.66]; P = 0.0001)、臨床転帰改善(60% vs. 38% of improved patients; P = 0.0001)、退院数の増加(120 vs. 89 of discharged patients; P = 0.0008)と有意に関連していました。2型糖尿病、COVID-19、多施設症例対照後ろ向き観察研究の結果、入院時のシタグリプチン治療は標準治療と比べて、死亡率低下、臨床転帰改善と関連がありました。2型糖尿病、COVID-19におけるシタグリプチンの影響は、現在進行中の無作為化プラセボ対照試験にて確定される必要があります。詳しくは論文をご覧ください。
https://care.diabetesjournals.org/content/early/2020/09/22/dc20-1521
DPP4阻害薬シタグリプチン(ジャヌビア)がCOVID-19の死亡率56%低下と関連していたというイタリアからの報告です。一見本当かと思いますが、DPP4は白血球のCD26と同一分子であり、DPP4阻害薬が免疫系に影響を及ぼす可能性は以前指摘されていました。COVID-19の重症化には免疫反応の過剰が関係しているという報告もあることからDPP4阻害薬が免疫反応の過剰に対して抑制的に作用し、重症化抑制と関連しているのではないか等のメカニズムの可能性はあります。現在、前向き無作為化試験が走っているとのことなので、結果を待とうと思います。


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